症状を繰り返すなかで、病気と向き合えるように

立石美津子
現在は講演活動なども活発に行っている

── その後も、再発を経験されていますね。

 

立石さん:42歳で再発したときも、明確なきっかけはなかったように感じています。ただ、前回の再発と大きく違ったのは、「自分で異変に気づけたこと」でした。

 

以前は不安による確認行動を「おかしい」とは感じていませんでしたが、このときは「これはいつもの症状だな」と客観的に見ることができたんです。早めに受診できたおかげで、重症化せずに落ち着くことができました。

 

── その後、60代でも再発されます。そのときは「将来への不安」も関係していたようですが…? 

 

立石さん:はい。私には、知的障害を伴う自閉スペクトラム症の息子がいます。私が60歳になったころ「自分がいなくなったら、この子はどうなるのだろう」という不安が強くなり、健康に関する強迫観念が出てしまったのだと思います。あのころは、ニュースなどで流れてくる健康や病気、特にがんに関する話題に過剰に反応してしまい、頻繁に病院での健康検査を希望していました。

 

健康に関する不安については、64歳になった現在も継続中です。さいわい、自分に合う強迫性障害の治療法と出合うことができたため、湧き上がる不安を否定せず、うまく向き合うことができるようになりました。

 

── 現在は、どのように症状と向き合っているのですか?

 

立石さん:強迫性障害は「完全に消えてなくなる」ということはないのかもしれません。でも、「向き合ってコントロールすること」はできると考えています。不安が湧き上がってきたときも、焦らずに「今はこういう状態なんだな」と受け止めることで、不安に振り回される時間は減ったように感じています。

「経験があるから寄り添える」自助グループで活動

── 現在は、強迫性障害に悩む人たちのサポートも行っていますね。

 

立石さん:6年前から、「生活の発見会」という強迫性障害に悩む人たちの自助グループで、世話人のボランティアをしています。当事者だからこそわかる苦しさがありますし、「つらいよね」と寄り添うことが、私自身の救いにもなっています。ほかでは話せない悩みも自助グループでは話すことができています。

 

以前の私は、弱っている自分を許せない完璧主義な人間でした。でも、「いつも同じ調子でいられるわけではない」と気づけたのは、強迫性障害と向き合ってきたからこそ。今後も、不安を否定せず、うまく受け止めながら向き合っていきたいと思っています。

 

 

38歳のときに未婚の母として出産し、子育てへの理想を描いていた立石さん。しかし、子どもに障害があることがわかり、人生観が大きく変化していきました。立石さんはこれまでの子育てを振り返り、「子どもに障害があることがわかってからは、諦めなければいけないことも多くあった。でも今は『息子の幸せとは何か』を考えるようになった」と話します。
 

取材・文:佐藤有香 写真:立石美津子