いじめにあい、逃げこんだ図書館で運命の出会い
—— 60年もの間、エジプトへの思いを抱き、飽くなき挑戦を続けておられる。ものすごい情熱、エネルギーを感じます。
吉村さん:情熱じゃあないんですよ。エジプト考古学が、ただただ「好き」でやっているだけだからね。自分の夢の実現のために、やって当たり前だと思っています。
—— その原点は小学4年生まで遡るそうですね。
吉村さん:ツタンカーメンの墓を発見したイギリス人のエジプト考古学者、ハワード・カーターさんの発掘記を読みました。10歳のころです。エジプトに興味を持ち、考古学者を志したきっかけですね。同時に、カーターさんよりすごい墓を見つけて、世界を驚かせたいと考えました。巨大ピラミッドを造ったクフ王の存在を知り、その墓を見つけるのが夢になったんです。
—— 当時、吉村さんはいじめにあっていたとのこと。
吉村さん:背が小さいくせに、授業で先生から指されて答えるときに偉そうにしゃべっていたからでしょう(笑)。体育と音楽は苦手でしたけど、物覚えがよかったんです。それで、いじめを避けるために逃げこんだのが図書館。いじめっ子は図書館にまでは追いかけてこないと思ってね。そこで先のカーターさんの本に出会ったんです。
小学4年生の授業で、先生から「君たちは将来、何をしたい」と問われたことがありました。私は「エジプトに宝探しに行きます!」と。みんなが笑うなか、担任だった平井先生だけはまじめに聞き入れてくれて、「それは考古学というものだ。東京大学に行けば夢が叶えられるよ」と教えてくれました。加えて放課後、家庭教師をかって出て、勉強を見てくださったんですよ。

—— そこから、東大を目指して勉強に励まれた。
吉村さん:東大を目指せる中学、高校に進学し、満を持して東大受験に臨みました。結果は不合格。翌年もその翌年もね。3年の浪人生活を経て東大をあきらめ、早稲田大学に進学しました。そして早稲田では有志を募り調査隊を結成し、エジプトの地へと赴いたわけです。