1987年にミリオンセラーを記録した『命くれない』のレコーディングでは、一途に添い遂げる女心を歌いながら、私生活では別居中だった瀬川瑛子さん。「こんな私がこの歌を歌っていいのかしら…」と現実のギャップに苛まれたことがあったそうです。
「こんな悲しい気持ちで歌っていいのか」

── 瀬川さんといえば、1987年にミリオンセールスを記録した『命くれない』(作詞:吉岡治、作曲:北原じゅん)が代表曲として知られています。ですが、当時はプライベートが大変な時期で、歌の世界と真逆の状況でいらしたと伺いました。
瀬川さん:実は最初、この歌をいただいたときは、曲名から「お命いただきます!」という意味だと思っていて、ずいぶん勇ましい歌だな、と。
── 「命をくれない!?」だと思っていらしたのですね(笑)。
瀬川さん:勘違いしてましたね(笑)。実際は運命の赤い糸に結ばれた夫婦の絆を歌った曲なんです。夫婦が夕焼けのように紅色に結ばれるという意味だと教えていただきました。
ですが当時、私生活では1回目の結婚生活が別居状態に陥っていた時期だったんです。それなのに、歌詞のなかでは「なんにもいらない あなたがいれば。笑顔ひとつで 生きられる」と、一途に添い遂げる女性の気持ちを歌っている。自分の状況とあまりに違っていて、悲しくなってしまいました。「こんな悲しい気持ちで、この歌を歌っていいの?」と。
── そんな複雑な心境だったのですね。
瀬川さん:歌とはいえ、私生活とのギャップで自分にはこの歌を歌う資格がないのではと、ずいぶん悩みました。だから、なかなか明るく歌えず、沈んだ声でしんみりした歌い方になってしまったんです。でも、それが逆に時代の雰囲気や曲のイメージに合っていたんでしょうね。結果的にヒットして、長く愛される曲になりました。