「もう歳だから」と躊躇することは誰でもあるけど

── ロースクールに通うとなると、生活のサイクルが大きく変わりますよね。家族の協力を得るために、ご夫婦でどんな話し合いをされたのでしょう。
山本さん:ロースクールに行くとなると、日々の育児で夫に協力してもらう場面が増えてきます。ですから「行こうと思うんだけど、どう思う?」と夫には事前に相談しました。すると「きみがそう決めたのなら、やってみたら」と背中を押してくれて。その言葉が心強かったですし、ポジティブに受け止めてもらえてうれしかったですね。
── ロースクールで過ごす日々は、モナさんにとってどんな時間でしたか。
山本さん:周りはほとんどが20代。最初は、年齢も経歴も違う私が入っていくと、周囲は気をつかうだろうから、あまり交わらないようにしようと、少し遠慮していたんです。でもみんなから積極的に話しかけてくれたり、クラス会に誘ってくれたりとすごく親切だったので、世代差を意識することなく、自然に馴染めました。勉強自体は大変でしたが、ロースクールの2年間はすごく楽しくて、あっという間でした。
私は3度目の挑戦で合格したのですが、在学中に受けた最初の司法試験で、同級生の半数以上は合格していました。うれしかったのは、受かった人たちが、残念ながら落ちてしまった人たちの勉強のサポートに回ってくれたことです。使っていた教材を譲ってくれたり、答案を見てくれたり、勉強方法のアドバイスをしてくれたり。それぞれ個別に相談にのってくれて、すごく充実した時間でしたね。
── そして2025年11月、モナさんも3度目の受験で念願の司法試験に合格されます。周りの反響が大きかったと思いますが、どう受け止めましたか?
モナさん:いちばんうれしかったのは「自分も新しいことを始めてみようと思いました」とか「やめようと思っていたことがあったけれど、もう一度頑張ってみます」といった前向きな声をたくさんいただいたことです。
年齢や環境を理由に何かを諦めかけていた方が、私の挑戦を知って一歩踏み出そうとしてくださった。それがすごくうれしかったし、私のほうこそ勇気をもらいました。だから今、こうしてお話ししているのも、誰かの背中を押すきっかけになれたら、という気持ちがあります。
「もう歳だから」とか「次はないんじゃないか」とか、自分で自分にストッパーをかけてしまう瞬間ってあると思うんです。そんなときに、「もう少しやれるかもしれない」「やってみようかな」と思える材料になれたら、これほどうれしいことはありません。
取材・文:西尾英子 写真:山本モナ 撮影:矢島泰輔