「子どもの忘れ物を届けるため、思わず全力疾走でバスを追い越した」と笑って話してくれたのは女子サッカー界のレジェンド・澤穂希さん。2011年のW杯で日本を世界一へと導いた脚力は、小学3年生の娘を育てる「アスリートな日常」のなかでも健在のようです。母としても全力で生きる、澤さんの「今」に迫りました。
現役引退から11年も、バスを追い越す脚力は健在

── 元プロサッカー選手で福島ユナイテッドFCの現副社長の辻上裕章さんと2015年に結婚され、今年で11年目になる澤さん。2017年に出産した娘さんは小学3年生になったそうで、今は子育ての真っ只なかだと思います。元アスリートだからこそ、子育てにいかせている部分はありますか?
澤さん:人より体力があるので、子どもと全力で遊べるところでしょうか。今も毎朝、娘を学校に送り出したあとに5キロから10キロ走っていますし、トレーニングも続けています。娘から「運動会でリレーの選手になりたいから、練習につき合って」と言われたことがあって、一緒に練習したことがありました。
── たとえばどんなふうに練習したんでしょうか?
澤さん:森林公園に行って走らせるとか。普通にダッシュもやらせましたし、フォームから徹底的に直しました。または、マラソン大会の練習となれば4、5キロ走らせてタイムを測るし。あと、サッカーとか球技も一緒にやりますね。サッカーは教えるというより、「一緒にボールを蹴りたい」と言うので、公園に行ってボールを蹴るくらいですけど。
── 側から見ると、澤さんと一緒にスポーツができて、とても贅沢な時間というか。
澤さん:どうなんでしょうね。これまでも娘と走ってどちらが速いか競争したことがありますが、まだまだ私が勝つんです。娘はとても悔しそうにしていましたが、私もわざと負けることもしないですし。
── トレーニングの成果は、娘さんのお友達が忘れものをしたときにもひと役買ったそうですね。
澤さん:娘が幼稚園に通っていたとき、バスに乗って行っていたんですけど。あるとき、娘の友達のお母さんが「体操服を忘れたよ」と、バス停まで走ってきたんです。けれど、バスは出発してしまって。そこで私が、そのお母さんから体操服を預かり、走り出したバスを追いかけ、並走し、さらには追い越して次のバス停に先に到着したことがあって。遅れてやってきたバスの中のお友達に「はい」って体操服を渡したことがあります。