後遺症との闘いが始まり「てんかん」で障害者手帳も

── 手術から5年が経過しました。現在はどのような後遺症があるのでしょうか。
間瀬さん:主に記憶障害とてんかんです。担当医から「高次機能障害」という診断を受けました。脳の一部を損傷したために、思考・記憶・行為・言語・注意など、脳機能の一部に障害が起きた状態を指すのですが、伝えたいのに言葉が出ないときがあったり、名前を思い出せなかったり、一部の記憶を失っていたり、外見からはわかりづらい障害です。
また、てんかんは、脳の神経細胞が過剰な電気的興奮を引き起こすことによって発作を引き起こす病です。発作が起きると、おもにに意識を失い失神して倒れこんだり、体が痙攣したりします。てんかんの発作は本当に厄介で、記憶がワープする感じなんです。それまでひとりだったのに、目を一瞬閉じて、また開けたら知らない人たちが大勢いて助けてくれていた…ということが多々ありました。電車にいるときに発作を起こして電車を止めてしまったこともありますし、資格を取るために通っていた学校でも発作を起こして助けてもらいました。本当に周りの方に申し訳なさと感謝しかありません。発作のたびに、混乱と全身筋肉痛もあって。本当に厄介な病気なんです。
── てんかん発作がいつ起こるかわからないのは怖いですね。
間瀬さん:術後に家で気絶することが何度もあって、てんかん外来にも通いました。最初はそれがてんかん発作なのかわからなかったのですが、仕事の打ち合わせ中に発作で倒れて、居合わせたスタッフやマネージャーがその様子を動画で撮影してくれていて。それを先生に見せたところ、「これはてんかん発作の可能性が高い」と。そこから、頭にいろいろな装置をつけて1週間検査を受け、確定しました。そして、いくつかの条件を満たしたので障害者手帳をもらいました。それで正式に障害者になったんです。
── てんかん発作が電車で起きたときはどういう様子だったのでしょうか。
間瀬さん:乗り合わせた人が駅員さんを呼んでくれたり、心配して対応してくれたりして。非常に申し訳ない気持ちになりました。目が覚めてからすぐに電車を降りましたが、直後に記憶障害が始まって、今どこにいるのかわからなくなってしまい。最寄りからたった3駅隣なのに、それが理解できない。助けを求めたくて「すみません」というけど、交番に行きたいとも言葉が出ない。「どこかに行きたいんです、僕」というのが精いっぱいでした。
そう言われても、「ん?どういうこと?」となりますよね。でも僕はうまく伝えられないから、「僕を見てわかりませんか?どこかに行きたいんです」と必死になってしまい。周りも「病院かな?」と一生懸命理解しようとしてくれるんですが、応えられず、もどかしい思いをしました。
今できることは、薬を飲むこと。曜日ごとに分けたケースに薬を入れて、飲み忘れのないようにしっかりと管理して飲むようにしています。年に1~2度は発作があるので、いつ起きるかわからない恐怖と戦っているような日々です。
僕はお風呂が大好きなんですけど、てんかんだとお風呂でおぼれてしまうこともあるので、おへそまでしかお湯を張らないようにしています。お風呂の時間が長いと、父が見に来てくれるようになりましたね。
── もし、てんかん発作を起こした方と居合わせた場合、どうしてあげるのがいいのでしょうか?
間瀬さん:僕の場合、発作が起きると、全身が突然硬くつっぱり、ガクンガクンとふるえる状態がおきて、その場で倒れ込んでしまいます。安全な場所に移動して、頭などを打たないよう守ってあげる。そして、けいれん中はけいれんを抑え込んだりせず様子を見守ってもらうことが基本的なサポートになります。
てんかん発作がおきた場合も、通常であれば数分間で自然に消退します。ただ、いったん発作が終わっても意識が戻らないうちは、吐しゃ物がのどに詰まる可能性があるので、体を片側に傾けてあごを伸ばしてあげるのがよいと言われています。
もし発作が異常に長引いたり、また繰り返す場合は、「てんかん重積状態」といいます。重積状態は5分が目安です。発作を5分以上繰り返すようなら救急車を呼んでもらいたいです。
── 間瀬さんは、そういう事態に備えてヘルプマークも利用されているそうですね。
間瀬さん:はい。「倒れていたら救急車をおねがいします」のメッセージのほか、名前や病名、かかりつけの病院と担当医師の名前、父の電話番号を書いています。僕が気絶してひと言もしゃべれなくても、救急隊の方々が家族の連絡先や運ぶ病院がわかるようにしています。
こうした情報をブログで書くと、意外と取得方法を知らない人が多いことを知りました。ヘルプマークの取得は特別に認められた人だけというルールなどはありませんし、駅や区役所などで無料でもらえます。ヘルプマークのつくり方や、使い方、助け方がもっと浸透してくれたらなと思います。実際、困っていらっしゃる方で、「間瀬さんの情報で私もヘルプマークをもらいに行きました!」という方が数名いらっしゃって、めちゃくちゃうれしかったですね。