「もう俳優をやれないなら飛び降りてやる」

──「脳動静脈奇形」とは、なかなか聞きなれない病名ですし、当時は驚かれたのではないでしょうか。
間瀬さん:「脳動静脈奇形」というのは、脳の中で動脈と静脈が直接つながり、その異常な血管がとぐろをまいたような塊となる血管の病気です。正常な血管に比べて壁が薄いため破れやすく、破れると脳出血やくも膜下出血に至ります。出血を起こさなくとも、頭痛やてんかんなどの症状を起こすこともある病気だと知りました。「あなたはただの脳出血ではなく、もしかしたら『脳動静脈奇形』という10万人に1人しかかからないと言われている難病の可能性があります」と言われたのですが、まさに僕はそうだったわけです。
しかも血管が破裂する確率はわずか2%だったのに…脳出血に。33年間、健康だったのに「どうして僕が?」という思いとともに、病気に対する恐怖や手術の不安で、精神的に衰弱して、そのときは周りに当たり散らしてしまいました。パニックだったとはいえ、そのことは今でも反省しています。
── 日常ががらりと変わり、恐怖も相まってパニックになりますよね。
間瀬さん:実は当時、恋愛リアリティー番組への出演も決まっていたんです。でも、開頭手術をするとしばらくは飛行機に乗れないと言われて結局、断念せざるを得ない状況に。自分の人生でもチャンスだと思った番組出演を控えた矢先だったのでさらにショックでした。
先生から病気について説明を聞いているときも一部記憶を失っている状態でした。手を握りしめたり、口を食いしばったり、震えたりというパニック発作のような症状が出て、説明の途中で看護師さんに車いすで運ばれたほどで。
続きは母とマネージャーさんが聞いてくれて、あとから「もしかしたら手足が動かなくなる。記憶障害が起きるかも。話せなくなるかも」ということを聞きました。そのときは「神様っていないんだな。手足が動かなくなったら僕はどうやって演技やアクションするんだよ?記憶障害の中でどうやってセリフを覚えるんだよ?話せなくなったらどうやって歌を唄うんだよ?ふざけんなよ」と神様を恨みながら「もう死のう」と思いました。
母に対して「手足が動かなくなったら俳優として終わりだろ。その瞬間に飛び降りてやる」と言ったのを覚えています。それくらい絶望したわけですが、このとき自分のことしか考えていなかった発言や態度はいまだに後悔しています。
数日後、母は自分が乳がんで闘病したときのノートを見せてくれました。それを読んで感動したんです。母の真似をして脳動静脈奇形のことを記録に残すことにしました。それがブログを始めるきっかけになりました。