「病気のことをもっと知ってもらえたら」

── 手術は無事に成功したとのこと、何よりでした。
間瀬さん:手術には6時間ほどかかりました。おでこのあたりから耳のあたりまで約20センチほど切り、開頭して頭痛の原因である異常血管の塊を取り除きました。左目の奥の側頭葉に脳動静脈奇形があったため、左側の頬骨も一時的に切りはずし、頬骨と頭蓋骨に金属プレートを計4枚取りつけたそうです。開頭すると結果的にふたつも塊がみつかりました。この病気の怖いところは、詳しく調べてもすべての塊を見つけにくいということ。なので、まだどこかに異常血管の塊がある気がしてならないのも正直なところです。
手術前に先生から「20%の確率で失敗する可能性がある」とも告げられました。後遺症が出る可能性があることに加え、植物状態になった方、亡くなられた方もいると。つらい事実をていねいに伝えてくれたんです。そんななかで僕がうれしかったのは、先生が「でも俺だから100%大丈夫だな」と言ってくれたことでした。その励ましの気持ちが本当にありがたかったですね。今でも経過観察に行くたびに元気をもらっています。
小さな奇跡もありました。僕の血管に異常があったのは「左側頭葉」だったのですが、言語、聴覚、記憶に障害が出たり、言語の記憶や理解能力が下がったりすると言われていました。記憶障害はあるのですが、聴覚や言語や視覚などには想定よりも影響が出なかった。それは僕が左利きだったからのようで。先生も驚いていました。
── 右利きの方と脳の使い方が逆だったことが不幸中の幸いだったわけですね。それは奇跡でしたね。ひとつの前例として今後同じ病気の方にとっても有益な情報になりそうですね。
間瀬さん:そうですね、僕はいま難病インフルエンサーとして自分の経験や情報を発信しています。発信してつながった同じ病の患者さんから、僕が情報をいただくこともあります。情報を共有するなかで、僕が倒れる3か月くらい前から難聴になったことや1週間程度で治ったもののそのあと肩がずっと誰かにもまれているような変な感じがしたり、右まぶたの上がずっと痛くてそこから頭部や後頭部あたりがずっと痛かったのも「前兆」だったのかなと思うように。
ただ、今でこそインフルエンサーになって同じ患者さんから同様の症状の情報が入っていろいろと知るわけですけど、当時は無知で病を疑えませんでしたから、もし似たような頭痛を感じている人がいるなら、いちおう病院に行ってCTをとってもらってほしいです。この脳動静脈奇形という難病は先天性の病気で、あまり知られていない難病なので、今より研究が進んだらうれしいです。そして僕の経験が少しでも誰かの手助けになればと思っています。
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難病の大手術を乗り越えた間瀬さんでしたが、その先に待っていたのは「記憶障害」と「てんかん」の後遺症でした。33歳で障害者手帳保持者となり、障害者に。ただ見た目からはわかりづらい障害のため、誤解され、傷ついたこともあるそう。そうした経験から、現在はインフルエンサーとしてブログやSNSを通して、この難病を広く知ってもらうための活動を続けているそうです。
取材・文:加藤文惠 写真:間瀬翔太