「アムラー、ガン黒ギャル、白ギャル」時代とともに歩み
── さまざまなプリントシール機を世に生み出していますが、人気の機種にはどのような特徴があるのですか。
門脇さん:プリントシール機が女子高生の定番となってからは、その時代に流行しているものが人気の機種や楽しみ方にも反映されています。第1号機が登場した1995年頃は安室奈美恵さんがブームで、細眉、厚底スタイルを真似するアムラーのなかでプリントシールが流行しました。
その後、1997年頃になるとギャル雑誌が次々と創刊され、ガン黒ギャルブームが起きました。ギャルブームとともにプリントシール機は女子高生の定番の遊びとして定着していき、この時代のプリントシールは、日焼けした肌をイメージして写りも少しオレンジ味が強いんです。色白肌に金髪の浜崎あゆみさんが人気となり、白ギャルが流行すると、プリの機種も白く明るく飛ばして写るものが人気となりました。
── 写り方に時代のトレンドが反映されているんですね。
門脇さん:機種の歴史はまさにトレンドの流れと連動していて、つけまつ毛やカラコンが流行し、2006年頃からは目が大きく映る「デカ目処理」が追加されました。「最近のプリは誰かわからないくらい目が大きくなりすぎる」というイメージがある方もいらっしゃると思いますが、実は目のサイズに関しては2010年頃がピークで、それ以降は盛れるだけではなく整えることが重視されています。2014年頃からは好みの多様化が続き、小顔加工や輪郭、顔の左右差の調整や陰影など、理想の顔を実現させるための細かい加工できるようになりました。

SNSがない時代は、情報源がテレビや雑誌に限られていて、特定の人物がその時代のアイコンとなって人気を集め憧れの存在となっていました。スマホの普及とともに、好みが多様化し、時代を象徴する人が歌手やアイドルなどの芸能人に限らず、YouTuberやインスタグラマーなど、人それぞれになってきました。しっかり盛りたい方も、無加工風のナチュラルな写りが好きな方も楽しめるように、好みやイメージに合わせて選べる機種が登場していることが、時代のニーズを反映していると思います。
── プリントシール機の変遷をたどると、当時の流行がわかるんですね。当初は撮影したプリントシールを見せあったり、交換したりすることがメインだったと伺いましたが、そのあと、プリントシールの使われ方に変化はありますか。
門脇さん:2000年代に入ってから携帯電話の赤外線送信機能を使って携帯に画像を送って保存できるサービスがスタートしたのですが、携帯に送信できるようになってからプリ画は、ブログや前略プロフィールという、女子中高生の間で流行したプロフィールサイトにアップするなど、使われ方が変化してきました。SNSが登場してから現在も、SNSに載せることで人と共有するという使われ方がメインとなっていますが、最近では、スマホケースやトレカケースにプリントシールを入れてバッグにアクセサリー感覚でつけるという方も多いです。いずれの時代も、プリを介したコミュニケーションツールとしての意味合いは30年前から変わっていないと思います。
