片目が見えると障害者手帳はもらえない…この現実にモヤる

── 6代目!歴代の義眼にも、愛着が湧きそうですね。先日は、義眼を外した写真もXで話題になっていましたね。SNSで義眼に関する発信を続けるのには、どういった理由があるのでしょうか?

 

千葉さん:単純に、私にとって当たり前のことだから、変に気を使って発信しないの違うなと思って。それに「両目見えたらよかったな」などと言ったところで、もうどうしようもないので。それならせめておもしろいことをしたいですし、私と同じように目が見えない人や、それ以外にも身体とか精神とかいろんな障害を持っている人たちが、少しでも声をあげられるようになったらいいな、という思いもあります。

 

千葉みゆう
義眼のメンテナンスは欠かせないそう

── 実際に、そういった当事者からの声も届いていますか?

 

千葉さん:はい。引用やリプライでいただきます。「大変ですよね」って共感してもらったり、自虐ネタのような投稿には「次から私もこう言ってみようかな」と言ってもらえたりしますね。まず、どんな内容でも反応をもらえること自体がうれしいですし、私の投稿に乗ってきてもらえたりするとよけいにうれしくなります。

 

── なんだかこちらまでほっこりします。その反面、心ない声が届くこともあるとか…。

 

千葉さん:そうですね。たとえば先日、義眼を外した写真を載せたら「グロいからやめて」みたいな声がありました。あと、障害者手帳に関する投稿をしたら、私の意図していた論点とは違う反論がきて、イラっとしちゃいましたね。でも「そういう人もいるよね」と流せるようにはなりました(笑)。

 

── お若いのにすごく大人ですね。ちなみに「障害者手帳」についてはどのような投稿をしたのですか?

 

千葉さん:私のように片目が見えないだけだと、障害者手帳は交付されないんですが、それについては、ちょっと思うところがあって…。

 

── なるほど。障害者手帳がないと、どのようなところで苦労されるのでしょうか。

 

千葉さん:みなさんにも身近なところだと、障害者手帳があると映画を観に行ったりするのがちょっと料金が安くなるんですね。あと、個人的にいちばん困ると思っているのが、就職です。

 

私は手帳がないので、いくら片目が見えなくても扱いとしては「健常者」になるんです。そうすると、いつか就職したいと思って面接を受けたときに「片目が義眼でまったく見えないんです」って言ったら、それが理由で落とされるのではないかなという不安があって…。企業には、一定の割合で障害者を雇用する制度があるので、もし障害者手帳があればそこの枠にも入れます。でも、手帳もなく片目が見えないとなると、健常者の枠の中で大きなハンデがある状態なんです。採用する側に差別意識があるかどうかは別として、同じレベルの人で両目が見える人と片目が見えない人だったら、前者が選ばれるでしょうから。

 

── 難しい問題ですね…。

 

千葉さん:そうなんです。そうした不安があるので、これまでにアルバイトをした経験もありますが、その面接では義眼のことは言わないようにしていました。いちおう、学校では普通の生活を送っていたので、迷惑をかけることもないんじゃないかなと思って…。

 

こういうことを考えていたら、私のXの投稿に反応してくれた人も同じようなことを言っていて。その人は実際に就活中で苦労していたり、別の人からは「友人が困ってました」みたいな声もあって「やっぱりそうなんだ…」と思って。私の場合、今はアイドルをしているので、実際に就職活動をするときがいつ来るかはわかりませんが、将来のことを考えると、障害者手帳の交付のルールがどうにかならないかな…と思うこともあります。

 

── 今、困っているみなさんが救われるような制度ができるといいですね。

 

千葉さん:はい。この障害者手帳の件のように、私のSNSでの発信が、私と同じような境遇で困っている人たちが、意見とか思ったことを言いやすい環境や時代になるためのきっかけになったらいいなと思います。そして、それが結果的にyou-showのグループの認知にも繋がってほしいです!

 

取材・文/髙木章圭 写真提供/千葉みゆう