義眼もずっと普通学校に通い「むしろ目立ちたい子だった」
── とてもポジティブで素敵ですね!では、学校生活はいかがでしたか?盲学校などに通われていたのでしょうか。
千葉さん:いえ、ずっと普通の学校に通っていました。ありがたいことに、学校生活でこれと言って困ったことはなかったですね。義眼だということは、クラスで大々的に言ったことはなくて、仲よくなった一部の子にだけ話すという感じでした。別に隠していたというわけでもないのですが。
── そうなのですね。打ち明けたときのお友だちの反応は覚えていますか?
千葉さん:はい。あんがい「そうなんだ!」くらいの軽い感じでしたね。あとは、「ちょっと斜視なのかなとは思ってた」と言われる程度で、こっちが拍子抜けするくらい。ボーッとしているときに義眼ではない右目だけが白目を剥いてしまったりすると、それに驚かれたりはしましたが(笑)。
── たしかにビックリしてしまうかもしれません(笑)。
千葉さん:基本的には、横を見るのにも目線だけを動かすのではなくて首ごと動かして見るクセがついているんですけどね。アイドルを始めて、写真を撮るときにカメラマンさんから「目線だけこっちください」って言われても首ごとカメラのほうを向いてしまったり。でも、考え事をしたりしていると、どうしても目線だけが動いてしまうみたいです。
── 無意識なのですね。でも、そういったとき以外は周りが気にしすぎずにいてくれたことで、思春期もコンプレックスなどは少なかったのでは?
千葉さん:そうですね。日常生活で感じたことはないです。どちらかと言えば、おもしろいことを言って目立ちたいタイプだったので、いじめられたりとかも特になく、友だちもたくさんいました。ただ、やはり両親は心配していたようですが…。

── そうですよね…。おうちでは、そういったお話もされていたのですか?
千葉さん:いや、大人になってから「実はいじめられてないか、心配してたんだよね」と聞きました。当時はあえて、静かに見守ってくれていたみたいです。
── では、病気のことや義眼に関するお話は、どのようなタイミングで聞いたのでしょうか。
千葉さん:眼球を切除する手術が2歳になる誕生日のまさに当日だったので、毎年、誕生日になると「大変だったね」みたいな話が出るんです。そのときに、少しずついろんな話を聞いています。あとは、今回みたいにSNSで話題になったら、その流れで話を聞いたりもします。
── ある意味「誕生日当日に手術」というのもよかったのかもしれませんね。
千葉さん:そうですね。両親は気が気じゃなかったと思いますが、私にとっては当時の話を聞くひとつのきっかけになってありがたいです。なかなか、あらたまってひざを突き合わせて話すのも恥ずかしいので(笑)。
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2歳で義眼になったにも関わらず、明るい学生生活を送っていた千葉さん。“義眼アイドル”として活動するようになってからは、SNSを通じてさまざまな声が届くといいます。なかには否定的なコメントもありますが、「義眼は私の武器」との思いで発信を続けているそうです。
取材・文/髙木章圭 写真提供/千葉みゆう