アイドルグループ「you-show」で活動する千葉みゆうさん。11月に《義眼であることのギリギリ良い点は、花粉症で「眼球取って洗いたい」って苦しんでる人の横で眼球取って洗えるところです》というXの投稿が2000万回に迫る表示回数を記録しました。切れ味の鋭い“自虐ネタ”が話題となった千葉さんに“義眼”になったきっかけを聞きました。
1歳のとき小児がんのため片目が義眼に
── Xでの投稿が偶然タイムラインに流れてきて、実際は大変だろうなと思いつつ、思わず笑ってしまいました。花粉症のときに眼球を洗えるなんて少しうらやましくも思いますが…そもそも義眼になったきっかけはなんだったのですか?
千葉さん:見ていただいてありがとうございます(笑)。義眼になったのは、1歳のときに網膜芽細胞腫(もうまくさいぼうがしゅ)という小児がんが発覚したことがきっかけです。何が原因でなってしまうのかはわからないそうなのですが、眼球の中に腫瘍ができてしまって…。私の場合、わかった時点でかなり腫瘍が大きくなっていたらしく、切除以外の選択肢がなかったそうです。なので、2歳になる誕生日当日に手術をして、そこからはずっと義眼で生活しています。初めてつけた義眼は、透明だったとか。

── そうだったのですね。病気はどうしてわかったのでしょうか。
千葉さん:どうやら母の妊娠中から腫瘍があった可能性が高いようなのですが、妊娠中や生まれたばかりのころは気づいていなかったそうです。でも、腫瘍が大きくなるにつれて視界が狭まっていったのか、歩いているときに不自然に壁にぶつかるようになったらしく…。普通の子どもがよちよち歩きで転ぶのとは、ちょっと様子が違ったそうなのです。また、左目の眼球が少し内側に向いて「斜視」みたいな感じにもなっていたと聞きました。こうしたことに違和感を覚えた母が、私を病院に連れて行ったら、大きい病院に行くように言われて、検査を重ねて腫瘍があることがわかったそうです。
── ちょっとした違和感を見逃さなかったお母さんに感謝ですね。
千葉さん:はい。もしかしたら、人によっては病院に連れて行くか迷うかもしれないですよね。私の母は、学生で結婚して私を産んでおり、その当時は大学生でした。そのぶん、大学の教授などの頼れる大人が近くにたくさんいてくれて、いろんな人に相談をすることができたので病院に連れて行くという選択をできたそうです。
── 頼れる人が多い環境でよかったです。でも、2歳から義眼となると、生活するのがかなり大変だったのではないでしょうか。
千葉さん:そうですね。義眼って、朝起きたら歯を磨くとか顔を洗うような感覚で、毎日取り出して洗わなければならないんです。小さいころは、そういう日常のケアを母がしてくれていたので、大変だったと思います。それと、私にとってはそれが毎日のことでしたが、保育園くらいのころに弟が産まれたときに、私がしてもらっていることをされていないことに気づいたんですね。「弟はこういうことやらないんだ。私とは違うんだな」と、子どもながらに感じたのを覚えています。
── そうなんですね。弟さんとの違いに気づいたことで、成長するにつれてつらい思いをされたのでは…。
千葉さん:それがそんなこともないんです(笑)。なんて言えばいいのかな…、周りに同じような人がいなさすぎたことが、逆によかったのかもしれません。
── というと?
千葉さん:たしかに弟ともほかの人とも違うのですが「周りと違う」っていう考え方ではなく、片目が見えないことが「個性があってむしろラッキー!」ととらえていたのです。義眼になるきっかけとなった網膜芽細胞腫という病気になるのも2万人に1人くらいの確率だと聞いて「私は2万人に1人の貴重な人間です!すごいでしょ!」みたいな感じでした(笑)。