3歳の絶望から「生きててよかった」の希望へ

── 16年間一緒に住んできて、お互いに思うことを教えてください。

 

小春さん:いちばんは、安心感が生まれたことです。ここにずっといていいんだと思えるようになったし、ここから出ていこうという気持ちは今はないです。私はこれまで、なおさんに愛してくれているかという確認作業をしつづけて、たくさん傷つけてしまったけれど、それでも見離さずに大切に育ててくれたことを嬉しく思います。生きててよかったです。

 

齋藤さん:小春の笑顔がすごく変わってよかったです。もともと、小春の笑顔は100点満点のかわいさでしたが、私にはどこか苦しさと暗さが見えていました。写真を見返しても素晴らしい笑顔なんですが。不思議ですよね。それが今は裏表のない、心からの笑顔になったのが最高にうれしいです。

 

実は、小春が3歳のころ、手を繋いで歩いていたら突然、車道に飛び出したことがありました。乳児院では立派な先輩として年下のお手本になるような子だったので、不思議に思っていました。当時はまったく理解できなかったのですが、数年後、小春は「自分は死んだほうがいいと思っていたから」と教えてくれました。

 

「自分は生きていても価値がない。親も迎えに来ない。いらない子だからこうなっているんでしょ?」と思っていたそうです。その言葉を聞いたときの衝撃は忘れられません。

 

それなのに今、「生きててよかった」と言う小春に出会えた。頑張ってきてよかったなと思いますね。「生きててよかった」と言えるって、シンプルにいいなと感じます。たくさんつらい経験をした子がそれを言えるのは、本当に希望だなと思うんです。