自分を守れるのは自分だけ。里子の孤独の根っこ
── 小春さんはどういう気持ちで行動していたのですか?
小春さん:私を本当に愛してくれるのか。ただただ、その確認作業だったのかなと思います。なおさんにもお姉ちゃんたちにもほぼ毎日、試すような行動をしていましたね…。

齋藤さん:本当にここに根っこを張っていいのかな、という確認をしていたのでしょうね。小春にとって、自分以外の人を信頼して根っこを張るというのは、コンクリートを突き破っていくくらい、難しいことだったんだろうなと思います。
こうした言動の背景には、小春が乳幼児期を乳児院で過ごしたという事情がありました。職員が複数人の子どものめんどうをみるので、小春が泣いてもすぐにケアしてもらえない環境を経験していたのです。
子どもは「お腹が空いた」とか「怖い」といった困ったときに親が助けてくれる経験を通じて、「この人は必ず自分を助けてくれる」という人間関係の土台となる信頼を築きます。この愛着によって生まれる絶対的な安心感があって初めて、自分は価値ある存在だと感じ、人を信じる心へと繋がっていくのです。
ところが、乳児院では、職員さんが別の子どもを見ているあいだ、小春にとっては無視されている状態になってしまう。自分が泣いても誰も来てくれないから、自分を守るのは自分しかいないと自然に学習し、人を信頼することが難しくなるんです。だから、私が何度「小春を守るよ」と言葉や態度で伝えても、信じてもらえない。これが、とてもしんどかったですね。