「お父さん」という言葉に震え泣き叫ぶ2歳の里子

── 初めて里子を預かってみて、理想と現実の違いを感じることはありましたか?


齋藤さん:1年間、里親サロンで先輩方の経験をお聴きし学んでいました。それでも想定外のことが多すぎて、最初はまったくうまくいきませんでした。まず、里子は「お父さんが怖い」と言って、お父さんという言葉を聞いただけで震えて泣くんです。それ以外にも、ご飯を食べる、オムツを替える、お風呂に入るなど、何をするにもパニックになり、泣き叫ぶ毎日でした。

 

2歳の里子は型抜きしてかわいらしく盛りつけたご飯を見ても泣いていたそう

おそらく実父から虐待を受けていて、ご飯やオムツ替え、入浴といったタイミングのたびにつらい目にあっていたのでしょう。今なら、そのときどきで恐怖心がフラッシュバックして泣いていたのだとわかります。しかし、当時はそれすら想像がつかなくて、ただただ心配し、寄り添うしかありませんでした。

 

── そうだったんですね…。とはいえ、齋藤さんの旦那さんが家にいる状況もあり、何か対策を講じる必要があったと思います。

 

齋藤さん:ひざかけをやわらかいソファーに設置して、いつでも逃げ込めるシェルターにしました。夫の姿が見えたら、里子がすぐにひざかけにくるまって逃げ込むのですが、網目から夫と子どもたちが仲よくしている姿をみて安心したようでした。

 

少しずつわが家での暮らしにも慣れたようで、泣き叫ぶことは減っていきました。1か月後には、夫と次女と里子の3人で公園へ遊びに行けるまでになりました。