筋肉マッチョ目指したらファンが減っていった

── 短期間でストイックに体と向き合ったことで、食への意識も変わったのでは?それまでの食生活はどんな感じだったんでしょうか。

 

野田さん:もともとあまり食欲がなくて、カップラーメンだけで済ませることも多かったんです。タバコも吸っていて食事には無頓着でした。でも27歳で筋トレを始めてタバコをやめてから、一気に食べるようになって。とくに意識したのが肉です。とにかくタンパク質を摂ろうと思って量も質も変えました。おかげで体調がよくなって、いまのところ人間ドックの検査で引っかかったことがありません。

 

野田クリスタル
吉本芸人がトレーナーを務めるパーソナルジム「クリスタルジム」の代表でもある野田さん

── 体型が激変したことで、周囲の視線にも変化があったと思います。ファンの方々のリアクションはいかがでしたか?

 

野田さん:それが、もともと少ないファンがさらに減ってしまって…。「前のほうがよかった」とか、けっこう言われましたね。

 

── 減ったんですか?むしろ女子ウケがよくなるものかと…。

 

野田さん:当時はまだ筋肉をウリにする芸人が少なくて、筋肉キャラのウケがあまりよくなかったんです。もともと「線が細い」イメージだったせいか、急に体がゴツくなって違和感を持たれたのかもしれません。僕自身、見た目をカッコよくしたくて鍛えたわけじゃなくて、ダンクを決めたくて始めたトレーニングだったので、ジャンプ力を上げるための土台として、とにかく重いものを持てるほどの筋力を追求したんですよ。

 

その結果、山男みたいな体になっちゃって。肩や腕が盛り上がりすぎてまるで鬼。自分でも「ちょっとバランス悪いな」と、思っていましたね。でも実際に筋肉がついて重いものが持てるようになったし、ダンクシュートも決められた。目的は果たせたので、満足しています。

 

── 筋トレを始めたことで、ご自身の気持ちや周りの方とのコミュニケーションに何か変化はありましたか?

 

野田さん:自覚はないですけど、なぜか「明るくなった」とは言われますね。僕自身は相変わらずの陰キャで内面は変わらないと思うんですけど。ただ、ガリガリのときは神経質そうな印象だったのかもしれませんが、筋肉の鎧をまとってからは、周りの人から話しかけられやすくなった気はします。能天気でとっつきやすい雰囲気に見えているのかもしれません。

 

── 話しかけられやすくなったというのはおもしろいですね。筋肉がついてコミュニケーションを広げるきっかけに?

 

野田さん:いろんな人に「ここ鍛えたいんだけどどうすればいい?」とか、「やせたいんだけど何食べたらいい?」とか相談される機会がすごく増えましたね。最近は健康志向になって、昔では考えられないくらい周りの芸人からも体のことやトレーニングの相談をされることが増えました。筋肉が、コミュニケーションを取るきっかけを増やしてくれました。近年はマッチョ芸人が増えてきたと思います。でも、昔は「芸人は筋肉つけるな」と言われてたんですよ。