学生バイトが就活すると大企業内定や出世頭に

──「お客さまに喜んでいただく」ためには、ありとあらゆることに頭をめぐらせる必要があるということですね。

 

西尾さん:とはいえ、研修を重ねるにつれ、だんだん変化していきます。研修生同士で「お客さまに喜んでいただくためにはどうしたらいいか」と、熱く議論する姿も見られるんです。切磋琢磨するなかで、だんだんお客さま目線で動けるようになってきます。

 

その結果「東京に旅行に来たなかで、浅草で人力車に乗ったのがいちばん楽しかった!」などとおっしゃっていただけるようになります。現在、当社のGoogleレビューはほぼ「5」です。リピーターも多く、多くのお客さまにご満足いただけていると思います。

 

── それだけ支持されるというのは、徹底してお客さまのために活動している証だと思います。

 

西尾さん:当社で働いているのは、「お客さまのため」という理念を理解し、実際に行動できる人ばかり。モットーに共感してくれる仲間が増えることで、組織そのものがとても強くなっているように感じます。そして、「人のために働く」という思いを持って行動にもできる人は、どこに行っても通用する人材になるんです。

 

もちろん、個々の魅力もあると思いますが、当社で働いてくれている学生アルバイトたちは、就職活動が始まると引く手あまた。驚くような大企業にどんどん内定をもらっています。「入社1年で、同期300人の中で最初にリーダーとして抜擢された」などと、報告に来てくれる子もいます。本当は「当社に就職してほしいな」と多々思うこともありますが(笑)、育てた子たちが活躍している姿を見るのはうれしいですね。

 

──「人のために働ける」人はとても強いのですね。

 

西尾さん:多くの人が勘違いしているのかもしれませんが、じつは「人のために仕事をするのはとても楽しい」ことなんです。仕事は決してつらくないし、苦しいものではありません。僕自身の経験で学んだのですが、「人が求めていること、喜ぶこと」を率先して行うと、自分自身が幸せな気持ちになるんです。自然と評価が上がるし、収入も上がっていく。するとますますやる気になるんですね。すべてがいい方向に歯車が回りはじめます。

 

最近は、テレビに出演させていただく機会も増えました。それを見た地元の中学校などから「働くとは何か」というテーマで講演してほしいと依頼されることも。地元の中学生や修学旅行で東京に来た中学生に、俥夫の体験学習をしてもらうこともあります。すると「いままで、大人になって働くのはイヤだと思っていた。でも、仕事ってこんなにみんなに楽しんでもらえるものなんだって、初めて知った」という感想をもらいます。なかには「早く働きたい」と言ってくれる子もいて。手ごたえを感じます。