姉妹で「まったく違う子育て」

── ふたりの娘さんはタイプが違うそうですが、それぞれにどう向き合っていらっしゃるのですか。

 

野波さん:長女は小6で次女は小4なのですが、長女は小さいころから自分の意見があってクール。長女に対しては親だからとか、大人だからこう思うと伝えるのではなく同等の目線で答えるようにしています。以前、ケンカしたときに「ママは母親だからそう言うの?それだと私は子どもの目線でしか意見が言えないから平等じゃない」と言われたことがあったんです。

 

── 大人びていてドキッとしますね。どんなことでケンカするのですか。

 

野波さん:今は習っているダンスに関してのことが多いです。普段は子どもらしいのですが、何か意見を言うときは大人のような感覚を持っているので、長女には人として平等な目線で、母親だからこう思うという視点を一度なくすようにしています。

 

私は自分が生きてきた経験があるのでどうしても「早めにこうしたほうがいいのでは」と物事を効率的に考えてしまうところがあって。それを伝えると「ママが言いたいことはよくわかるけど、私は私のやり方で一度やってみたいの」と。あまり先回りせず、長女の意見を尊重しようと思っています。

 

── よかれと思ってするアドバイスも、お子さんによって受け止め方も違いますもんね。次女はどういうタイプなんですか。

 

野波さん:長女とはまったく違って、私ラブ(笑)という感じです。逆に私が言うことがすべてだと思ってしまっているところがあるので、あまり言い過ぎないように気をつけています。ないものねだりですが、自分の意見をもっと言えるようになってほしいと思ってしまいますね。姉妹で性格がぜんぜん違うので、まったく別の子育てをしている感じがします。

 

── Instagramの投稿では、娘さんたちと自然豊かな場所でオフの時間を過ごされているのが印象的でした。もともとアウトドア好きだったのですか。

 

野波さん:私はもともとアウトドアではないんです。今まで湖に行ったこともなかったのですが、娘が「海ではなく湖に行ってみたい」と言い出したのがきっかけで、湖の目の前でキャンプをしました。実は私、水が怖いので、子どもがいなかったら絶対泳ぐことはなかったと思いますが、「子どもたちがいるからやってみよう」と思って泳ぎました。母親になってからかなり冒険している感じがします。

 

自分の時間は減りましたが、子どもたちがいることで生きるエネルギーになっていることがたくさんあります。子どもがいることで視野が広がりましたし、自分だけでは見られなかった景色を見ているという実感もあります。実際に新しいことに挑戦することも増えました。

 

── 大人になると新しいことを始めるのは慎重になりがちですよね。

 

野波さん:わかります。年齢を重ねると自分の世界観のなかだけで生きようと思ってしまうんですが、そこに子どもの目線が加わると新しい世界を見ているような感覚になってチャレンジできるんです。子どもたちが夢中になって取り組んでいる姿を見ることが私にとって日々のパワーになっていると感じています。

 

 

ふたりの娘さんを無痛分娩で出産した野波さん。長女の出産後は、「スタスタと歩けていた」という野波さんは、次女の産後に大変な経験をしたそうです。呂律が回らず、歩けなかったほか、疲れているのに眠ることができず「自分が自分ではなくなる感じがした」といいます。産後数週間で元に戻ったそうですが、改めて出産にはいろんな形があることや命の尊さについて考え直したと話してくれました。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/野波麻帆