「今日は奇跡を起こしたい」と張りきる夫に

── 起死回生を狙った決断だったわけですね。とはいえ、経済的な現実もあるなか、資金はどうやって準備されたんですか?

 

ゆーびーむ☆さん:もちろん貯金なんてないので、すべて融資でまかないました。夫は借金があるけれど、私はブラックリストに載っていないので(笑)、審査も問題なく通りました。

 

── ゆーびーむ☆さん自身も、芸人と経営者という「二足のわらじ」を履く生活になります。リスクについてはどう考えていましたか?

 

ゆーびーむ☆さん:もし、いまお店を出して失敗しても、10年かけて返せばまだやり直せる年齢だなと。でも、夫はもう50手前。だったら、いまのうちに経験を積ませたいと思ったんです。彼はだらしないところもあるけど、好きなことにはのめり込み集中できるタイプなんですよ。私も同じで、昔「不動産は儲かる」と聞いて、宅建を取ったこともあるくらい、興味があれば頑張れる。ふたりとも、ハマると一直線にできるタイプで、方向さえ間違えなければきっと大丈夫かなと。

 

ゆーびーむ
カウンターでお酒を作る姿も

── お店をオープンしたのが今年8月。実際に働いてみてどうですか?

 

ゆーびーむ☆さん:夫がすごく一生懸命働いているのが新鮮です(笑)。いままでアルバイトでは「サボっても時間が経てばお金が入ってくる」って感じでした。でも、自分たちの店は頑張ったぶんだけ収入になるから、すごくやる気につながっているようで、「今日、奇跡を起こしたい!」って張りきっていて(笑)。お店限定で作ったTシャツを10枚まとめて買ってもらうと、「奇跡が起きた!」って大喜びしてる。そんな姿を見ると、私もうれしくなります。

 

ただ、夫の経営感覚が致命的に低いことが判明しました。予想はしていたけれど、そのダメっぷりが想像以上で…(笑)。オープンしたばかりのころ、「今月めっちゃ売り上げた!」って、はしゃいでるんです。「ちょっと待って。それは売上であって、収入じゃないからね」って、説明したら不思議そうな顔をしていて。「お酒の仕入れ代とかいろいろ商品代の請求が後からくるんだよ」と話すと、「え、そうなの!?」だって。「売上=収入」と思っていたんです。常識的に考えたらわかりますよね?もう、こっちがビックリですよ。社会人デビューしたての子を育てている感覚になりますね。