ギャルって基本ポジティブなんです
── 当時の宮下公園は、ホームレスの方たちも多くいた時代ですよね。縄張りもあるし、警戒心も強いと思うんですが、どうやって懐に入ったんですか?
あぢゃさん:とりあえず、最初の晩に「こんにちは!お邪魔します!」って、ヤマンバ総出であいさつ回りをしました。ホームレスの方たちは最初、戸惑ってたけど「ここ、立地めっちゃいいですね!風通しもいいし、最高!」って、みんなでひたすら褒めまくりました。
──「立地」をほめるんですね(笑)。
あぢゃさん:ギャルって基本ポジティブなんですよ。相手のいいところを見つけるのも得意。そしたら、「まあ、ひと晩ぐらいならいいよ」って受け入れてくれて。翌朝、「これ食うか?」って、おでんを持ってきてくれたんです。でも、どう見ても腐っていて…。でもそこで「いらない」なんて言ったら、もうここに住めないと思って、「いただきます!」と言って、ありがたくちょうだいしました。みんなで「ヤバイ、すっぱ」って言いながら(笑)。
── 腐ったおでんは口にしないほうがいいとは思いますが(笑)。そんなところからも関係を築いていく、コミュ力を武器に懐に入るヤマンバ軍団恐るべし、ですね。でも、若い女の子ですし、危ない目にあうことはなかったんですか?
あぢゃさん:いや、まったく。むしろ、「ここは危ないからあっち行きな」と「ここで寝ていいよ」と守ってくれて、すごくありがたかったです。あの人たちがいなかったら、たぶん事件に巻き込まれていたかもしれません。
当時は、ホームレスを狙った犯罪が多かったから、あの人たちも警戒していたと思います。でも私たちは、水着みたいな、露出の激しいかっこうをしていて、完全に丸腰で武器を隠し持っている様子もない。だから、「襲われる心配はない」と、受け入れてもらえたのかもしれません。宮下公園では1、2か月ほど生活していました。
お風呂がないので、公園の水道で体を拭いたり、たまにヒッチハイクで海に連れて行ってもらって、海水で体を洗って帰ってくることもありました。幸い危ない目にはあったことがありませんでしたが、今思えば、かなり危険ですよね。