入院中は坂本冬美さんが茶碗蒸しを持参して
── 症状について、先生からどのように説明されましたか?
藤さん:かなり初期のがんで、自分たち医師が診ても「これかな?」と思うくらい初期ですと。でも、このまま放置するとほかの部位に転移する可能性があると言われたので、迷うことなく「取ってください」と手術を受けることを決めました。がんと言われずに子宮と卵巣を取っていたら納得していない自分がいた気がしますが、あと押ししてくれたのはがん宣告。がんと聞いてすぐに頭を切り替えました。4月後半に結果を聞いて、5月頭に手術をすることになりましたが、早めに予約をしておいてよかったです。
── 手術はダヴィンチというロボットによる内視鏡手術だったそうですね。術後の様子はいかがでしたか?
藤さん:おへその周りに1cm弱くらいの穴を数か所開けて遠隔操作するものでしたが、麻酔は手術当日に目が覚めるくらい軽いものだったので、手術が終わって「終わりましたよ」という声も聞こえました。
術後は痛み止めの点滴をしていましたが、母ががんで闘病中のときにモルヒネの点滴をしていて、モルヒネによって意識が朦朧とし、普通の生活に戻るのに時間がかかると聞いていたんです。先生にどういう状態だったら点滴をはずせるか聞くと、重湯が食べられる状態だったらはずしてもいいとおっしゃってくださったので、頑張って重湯を食べました。痛み止めの点滴をはずした日は痛かったのですが、日ごろの寝不足も溜まっていたのか、痛みを我慢しながらひと晩寝たら翌日はスッキリしました。
手術の翌々日には普通食が口にできるほど回復。「適度に動いたほうが回復が早い」と先生から聞き、手術翌々日には、夫が隣にいて手すりに掴まった状態で、8階から1階まで階段の昇り降りをしました。1階に降りると近くに駐車場があったので、外の空気を吸おうと思って夫と一緒に外に出たんです。駐車場に出て、全身の機能を回復させようと思ってヨガのポーズをとると、ああ、生きてるなって思いました。
── 手術から翌々日に1階から8階まで階段昇降に加え、ヨガのポーズとは…すごい回復力ですね。
藤さん:驚意的というか、早く元気になりたい一心で、どれだけ自分に厳しいんだ、って感じなんですけどね。入院中には(坂本)冬美さんが、私が伝授した茶碗蒸しを作って来てくれました。茶碗蒸しを食べて栄養もついて、手術後3日目くらいから痛みも徐々に引いていって楽になりました。
──入院生活がトータル6日間だったそうですが、退院後の生活はいかがでしたか。
藤さん:はじめは腰痛やお腹が張っている感じがしましたが、徐々に落ち着いていきました。サプリメントは飲んだほうがいいと言われたものは飲んでいますが、ほかは影響ないですね。病気でマイナスになったと思いたくない、という意識がどこかにあるんでしょうね。マイナスではなく、悪いものを取ってもらったという意識で過ごしています。
また、5月16日のコロッケさんとのジョイントコンサートを無事に終えることができました。
先生に許可を得てヨガは手術から3か月後には復帰して、キックボクシングも傷口がすごく小さかったので、じきに再開しました。