たとえ初期症状は軽かったとしても

藤あや子
2024年5月、復帰後初コンサート

── 病気発覚から術後の経過まで、とても前向きな印象を受けます。

 

藤さん:もともと悩むことがまったくないし、すべてにおいてマイナスには考えないですね。何か言われても、「そんなこと起きるわけない」っていいほうに考えすぎて、失敗するタイプではあるんですけど。今回のがんは、悪いものであれば取っちゃえばいいし、手術をしてくださった先生は信用できる方だったので、手術も絶対成功だって思ってました。

 

── 退院後、子宮体がんを患ったことをブログで公表されました。

 

藤さん:女性の病気の啓発になるかなって思ったんです。女性特有の病気って病院に行きづらかったり、人に言いにくかったりするし。あと、私の生き方として隠しごとは嫌でした。自分に起きたことをリアルに発信していくことで、ひとりでも多くの方の救いになればいいなと思ったんですよね。病気を公表したことで今までにないコメントの数がついて、各々の体験談を話す人もいれば、みんなで情報を共有しながら私も受診してみたという人もいて、自分が経験していかせることはやっていこうと思いました。

 

── 現在は3か月に1回受診され、経過は順調とのこと。子宮体がんを経験されて、ご自身の中で変化したことはありますか?

 

藤さん:私の場合は初期症状で軽く済みましたが、自己判断で簡単に考えちゃいけないですね。私は前向きすぎるところがあるんですけど、夫の慎重な部分がありがたかったですし、助けてもらった命は大事にしようと思っています。自分が経験したことをみなさんにお伝えしていくことで、悩んでいる人の力になったり、女性を応援していく立場の人になろうと思いました。

 

 

子宮体がんの手術中も藤さんを支えた旦那さんは、藤さんよりもふた回り年下。彼がマッサージを担当するトレーナーとして藤さんの舞台を担当したのが出会いのきっかけだったそう。当時藤さんは55歳で夫は31歳。それでも、年の差以上に人としての相性が非常によく、交際からわずか5か月で結婚。今も幸せに暮らしているそうです。

 

取材・文/松永怜 写真提供/藤あや子