「宿題が進まずイライラ」解消できたわけ
── 心配なことというと、娘さんの成長とともに悩みも変わってくると思います。最近はどんなことが大変ですか。
平井さん:今、小学2年生なのですが、やっぱり小学校に入ってから勉強が心配になりました。娘は漢字を覚えるのが苦手で、漢字テストが私のプレッシャーになっています(笑)。

── 娘さんではなく平井さんの(笑)。
平井さん:そうなんです。漢字テストのたびに恐怖を感じていました。最近ようやくその悩みが解決したのですが、娘にぴったりハマったのは、漢字をバラバラにして覚えていく方法でした。たとえば「石」という漢字なら、「漢字の一(いち)に、カタカナのノに、口(くち)」という覚え方を私が作ると覚えやすいらしくて。だんだん慣れてくると娘から「これはこっちのほうが覚えやすい」とか、「これはもう、なべぶたで大丈夫」と言ってくるようになりました。書き順に合わせながら言葉をつけると記憶できるみたいなんです。
タイプによってはひとりでどんどん進めていく子もいるんでしょうけど、うちは一緒に並走して背中を押さないと進まないタイプ。なかなか進まずイライラしてしまったこともあったのですが、ここは時間がかかっても軌道にのるまで一緒につき合おうと思いました。
── 優しさと根気強さが溢れています。自分がしてきたように、「覚えるまで何回も書いたらいい」と言ってしまいそうです。
平井さん:わかります。私自身も小学生のころはひたすらたくさん書くという方法で覚えてきたので、はじめのうちは「とにかく覚えられないのは100個書けばいいんだよ」というふうに声がけしてしまっていたんです。「ママはひとりで宿題やってたよ」と言ってしまったこともありました。
── そういう時代だったのかもしれませんね。今は親が宿題の丸つけなどをする学校も増えて、一緒に取り組むことがより求められているように感じます。
平井さん:娘の性格がわかると、このやり方は娘にとっては違っていたんだなということに気がつきました。いろんなタイプの子がいると思いますが、娘は普段の会話の記憶力がとてもいいので、視覚よりも耳から聞こえる音が記憶しやすいんだとわかってから、この方法に落ち着いて。そこから漢字テストも私のプレッシャーではなくなりました(笑)。
時間をかければ解決するということがわかったので、今では宿題中も「これは親子のふれあいの時間」と思うようにして、気持ちを切り替えています。きっと数年後に振り返ってみるときっとこの時間も懐かしく感じられると思うので、日々試行錯誤しながらですが、今しかない娘の成長を見守っていけたらいいですね。
取材・文/内橋明日香 写真提供/平井理央