携帯に出られないときは「テレパシーで」

── 週末や夜など、お子さんが家にいるときに仕事がある日はどうされているんですか。

 

平井さん:夕方から仕事があるときや土日に仕事が入るときは家族にお願いすることが多いのですが、娘からはかなりブーブー言われます。「ママがいないなんて、なんて日だ!」って。8歳になって自分でいろんなことができるようになっているとはいえ、「学校に行っているとき以外はずっとママと一緒にいたい」というようなことをまだ言ってくれるので、うれしくもありつつ、後ろ髪を引かれながら家を出る感じです。

 

── ずっとママといたいと言ってくれる、かわいい年頃ですもんね。

 

平井さん:思い返してみると、私もそうだったなと思います。仕事に出かける前に、「終わったらまっすぐ帰ってくるよ」とか、あとは「いつでも連絡していいよ」というと納得してくれることが多いです。実際は本番中に連絡されても携帯に出られないんですけどね。物理的に携帯に出られないようなときは「テレパシーで声かけて!」とお願いすることもあります。

 

── 携帯は出られなくても、たしかにテレパシーなら繋がれますね。

 

平井さん:でも家に帰ってから娘に「今日さ、テレパシーで声かけたけど全然答えなかったでしょ」と言われて、「ごめん!今日忙しくて感じなかったわ」と謝るときもあります(笑)。

 

── 娘さんは、平井さんの仕事のことをどう思っていますか。

 

平井さん:あまり面と向かって言われることはないのですが、誇らしく思ってくれているのかなと思います。うちの両親に「ママが作ったチョコレートが伊勢丹で売ってるんだよ」と自慢しているようですし、街中でたまに「平井さんですか?応援してます」と話しかけられるがあると「なんで今声かけられたの」とうれしそうに聞いてきます。「ママのこと、テレビで見て知ってくれてたんだって」と答えるとニコニコしているので、ポジティブに受け止めているのかなと思っています。

 

── 働く母として、どのような姿を娘さんに見せていきたいですか。

 

平井さん:8歳になって、もうだいぶ手がかからなくなっているのですが、これから先はもっとそう思うことが増えていくのかなと思っています。娘の人生も学校以外のところに広がっていって、だんだん社会とつながっていくと思うのですが、自分以外の人生を間近で見られて、それをサポートできることがとても楽しみです。

 

とはいっても、私自身も自分のフィールドを持っていたいので、仕事は続けていきたいと思っています。自分が仕事を通じて知った世界を娘に伝えることもできますし、娘から相談されたときに頼りがいのあるママでいたいですね。

 

 

8歳の娘さんを育てている平井さんは、家族やママ友の力を借りながら子育てと仕事の両立をしているといいます。小学校に入ってから勉強が心配になったと話す平井さんは、「娘の漢字テストがプレッシャーだった」そう。その悩みを解決すべく取った行動は、娘さんの性格を理解して一緒に並走すること。覚え方のコツをつかんだ今、「プレッシャーはなくなりました」とにこやかに話してくださいました。宿題につき添う時間も「親子のふれあい」と考えて大切にしているそうです。

取材・文/内橋明日香 写真提供/平井理央