27歳のときに卵巣がんがわかった長藤由理花さん。すぐにでも手術をしなければ危険な状況のなかで、将来は結婚、出産を望む長藤さんは再発のリスクがあるにも関わらず卵巣を片方残すことに決めました。しかし、手術後に、再び絶望の淵に立たされます。

妊娠のため「片方の卵巣は残す」と決めた

長藤由理花
フードコーディネーターの長藤由理花さん

── 現在はフードコーディネーターとして、SNSなどでご家族やお仕事について積極的に発信されています。27歳のときに卵巣がんがわかり手術をされました。手術前には大きな決断があったそうですね。

 

長藤さん:私は検査をした時点で右の卵巣が15cmまで腫れていて、破裂する前にすぐに手術をしなければいけないと医師から言われたんです。当時はまだ27歳で特に予定はなかったけれど、将来は結婚をして子どもを産むことを当たり前のように想像していたんです。なので、左の卵巣はどうしても残したいという想いが強くありました。

 

ただ、卵巣がんは再発の予後が悪く通常は両方の卵巣と子宮を取るのがスタンダードな方法のようで。残すことで再発率が上がるなどのリスクがあったんです。

 

── 非常に難しい決断ですね。

 

長藤さん:そうですね。でも、病気になっていなかったとしても、子どもは授かりものですから今後妊娠できるかどうかはわからないですよね。未来がわからないのであれば、私は子どもができる奇跡にかけたいと思い、迷わず左の卵巣を残す決断をしました。

 

ただ、両親の考えは違いました。やはり優先は娘である私の命。リスクがあるのであれば、残さずに取ってほしいと。泣きながら何度も話し合いをしましたが、最後には私の人生だからと私の意見を尊重してくれました。

 

とはいえ、医師からはもし手術をしてみて左の卵巣にも転移をしていたら、迷わずに取りますということを手術前に言われました。手術時に麻酔で眠るときは起きたときにいったいどうなっているのだろうと、怖くてつらかったですね。

 

── 結果的にどうなったのでしょうか?

 

長藤さん:麻酔から目が覚めて医師から第一声目に言われたのは、「左側の卵巣は残せたよ」でした。また、手術では切除中に右の卵巣が破裂するリスクがあったのですが、それもなく無事に成功したと。破裂してしまうと血液にガン細胞が入ってしまい転移する可能性があったので、本当に安堵しました。それと同時に私にできることは主治医を信じることしかなく、無力だとも感じました。