フードコーディネーターとして活躍する長藤由理花さんは、27歳のときに卵巣がんが発覚します。そこから日常は一変。突然の出来事にとまどう長藤さんを支えてくれたのは、周りの人たちの言葉でした。

念のための検査で卵巣がんが発覚

長藤由理花
長藤さんの近影。5年目のがん検診のあとに

── 現在はフードコーディネーターとして、SNSでお仕事やご家族について発信されています。27歳のときに卵巣がんがわかり、闘病されたそうですね。病気がわかった経緯を教えてください。

 

長藤さん:婦人科を受診したのは、旅行のために生理の日をずらしたくて、ピルをもらいに行ったことがきっかけでした。それまでも健康診断はすべてA判定。生理不順はなく、つらい生理痛に悩んだこともなかったんです。

 

初診でフラッと入った婦人科だったため、ピル処方のために念のため検査をしたところ…先生が「少し卵巣が腫れていますね。大きな病院でいずれ診てもらったほうがいいかもしれません」と。ただ、そう言われても、どこか不調があるわけではなかったため、しばらくそのまま過ごしていました。

 

── すぐに大きな病院で検査はしなかったんですね。

 

長藤さん:年末年始もあったため1か月くらいは放置していたのですが、年始に初詣で「今年も元気に過ごせますように」とお参りしたときに、婦人科で言われたことをふと思い出したんです。それで、職場の近くにあった大学病院で念のために診てもらおうかなと。体調が悪くて行ったわけではなく、診断で「大丈夫」と言われれば安心だろうという軽い気持ちでした。

 

── でも、そうではなかった?

 

長藤さん:私としては午前中にサクッと診察を終えて、午後から普通に仕事をする予定だったのですが…。血液検査の結果を見た医師から、もう少し詳しい検査をしようと言われCT、MRIなどの検査を続々とすることに。気づけば夕方になっていました。どうやら血液検査でわかる卵巣がんを示す腫瘍マーカーの数値が、通常の5000倍以上だったようで。それで、これは卵巣がんの可能性が高いと検査したようなんです。検査後に個室に呼ばれて、そのことを告げられました。

 

── 聞いた瞬間はどのように感じましたか?

 

長藤さん:信じられないという感じでしょうか。具合が悪くて病院に行ったわけではなかったので驚きがいちばんで、そこからジワジワと不安が押し寄せてきました。腫瘍マーカーの数値が14万という数字を聞いて、ただごとではないなと。

 

当時、27歳だったのでまわりには結婚する友だちが多く、私自身も予定はなかったけれど結婚について考え始めるような時期でした。卵巣を取ってしまったら子どもをあきらめなければならない、結婚も難しくなるかもしれない。でも、命がいちばん大切だし…といろいろな感情が押し寄せました。