足の指が内出血「もう糖尿病から逃れられない」
── なぜそこまで長い間、放置してしまったのでしょう。
コージーさん:痛みはなかったし、ふつうに日常生活を過ごせていたので、危機感がなかったんです。親父も糖尿病でインスリンを打っていましたが「自分はまだ若いから大丈夫」と思い込み、食生活はたいして変えず、薬も飲んだり飲まなかったり。あまりに無知でした。けれど、その間にも身体は確実に蝕まれていったんです。
── 蝕まれていたとは…?どんな異変が出てきたのでしょうか。
コージーさん:あるとき、ホットカーペットに裸足で寝ていたら、足の指に水ぶくれができていて。潰したら内出血し、足が腐っているように見えたんです。「これ、壊死じゃないか」とあわてて病院に行くと、糖尿病による神経障害でした。カーペットの熱をまったく感じず、低温やけどを起こしていたんです。いま思えば、正座しても足が痛くならないとか、プールや海に入っても膝から下だけ冷たくないとか、前兆はありましたね。
目も内出血の影響で黒い影が見えるようになっていきましたが、大丈夫だろうとごまかしながら生活していました。ようするに、病気の現実に向き合うのが怖かったんです。でも、前述した足の一件から「もう逃れられない」と腹をくくり、そのころからインスリン注射を打ち始めました。

── インスリン注射を毎日ご自身で打つのは、気持ちの面でも負担が大きそうです。最初はやはり怖いものですか?
コージーさん:怖かったですね。針自体はすごく細いので痛くはないのですが、針を刺すことにためらいがあって、なかなか慣れませんでした。僕は食事に含まれる炭水化物の量に応じて、インスリンの投与量を調整するという方法をとっているのですが、1度、その量を間違えて、えらい目に遭ったことがあります。
あれは鍋を食べたときのことです。満腹だったので「これは血糖値がかなり上がるな」と多めにインスリンを打ったんです。でも、鍋は野菜が中心でそれほど血糖値は上がらなかったので、インスリンが効きすぎて、今度は低血糖になってしまったんです。手が震えて、冷や汗が止まらない。血糖値をあげるためにあわててコーラをがぶ飲みしましたが、あのときはつらかったですね。