就職もドクターストップ わずか7か月で退職

── 大学卒業後は教師になったのでしょうか?
葉一さん:いえ、学校ではなく、一般企業に就職したんです。もちろん、恩師に憧れて教師を目指していましたし、大学も教育学部がメインでしたから周囲の学生もみんな教師になるという目標に向かっていました。でも「これでいいのかな」とだんだん思い始めたんです。
自分が教えるはずの子どもたちは社会に出ていろいろな仕事をするのに、自分は教師しか知らずに「将来がんばれよ」と言うのって、ちょっと違うんじゃないかな?と。それで在学中に、NPOの活動に参加したり起業家の方たちと交流したりして刺激を受けていくなかで、いったん一般企業で修行してから教育現場に入ったほうが、子どもたちに還元できるものが大きくなると思うようになったんです。
── それで卒業後は企業に就職されたんですか?
葉一さん:はい。教材販売の営業職に就きました。一軒一軒訪問販売するようなハードな営業でしたが、教育に関わることにはなるし、成績がよければグループ会社で運営しているフリースクールの講師になれるというルートがあるのも魅力でした。
── 社会に出ていきなり訪問販売はかなりきつそうです。
葉一さん:もう、想像の100倍つらかったです。なかなかうまくいかず、お客さんからも上司からも毎日怒られていました。人生経験としては得るものはありましたけど、もう一度同じ仕事をしたいかというと、したくないですね(笑)。しかも、営業マンの仕事は、実は7か月でドクターストップがかかって辞めているんです。
── 仕事がハードで体調を崩されたのですか?
葉一さん:大学生のときに、風邪を放置して腎臓を悪くしていたのが悪化したんです。今だったらコロナなどがあるから、微熱があるのに働くことはないと思うのですが、当時はちょっとした風邪で微熱なら、と遠距離通学しながらバイトなどもしていました。そしたらある日、血尿が出てしまい、慌てて病院へ行ったらすぐに大きな病院を紹介されて。検査入院の結果、風邪の菌が腎臓に入り込んでいて、炎症を起こしていると言われました。
薬で治療しながら経過観察していたのですが、就職してから腎臓の数値がものすごく悪くなり、医師から「この仕事を続けて社会人生活を短くしてしまうか、いま別の仕事に切り替えるかどうする?」と言われ、営業の仕事を続けることは断念しました。その後、体調が戻ってから塾講師として3年働き、YouTubeを始めました。