父が手作りした「義手ピック」のおかげで今がある
── ギターを始めたきっかけは何でしたか?
Lisa13さん:祖父がハワイアンバンドでギターをやっていたので、小さいころから遊びでギターに触っていました。本格的に始めたのは、小6のときに見た「X JAPAN」のhideさんと布袋寅泰さんのCDのジャケットがきっかけで。ギターを持って立っている姿がすごくカッコよかったんです。ギタリストってカッコいい!私もこういう華やかなパフォーマーになりたい!と思って、お年玉を貯めてエレキギターを買いました。
── ご両親も応援してくれたんですね。
Lisa13さん:そうですね。母が声楽とピアノを、父も趣味でサックスをやっている音楽好きな一家だったので、ふたりとも「おおいに励みたまえ」って感じで応援してくれました。最初は祖父が書いてくれたギターのコード表を見て毎日のように練習していました。
── 普通は右手に持ったピックや指で弦を弾くわけですが、Lisa13さんはどうやって練習していたんですか?
Lisa13さん:胃薬の箱とか、右手にフィットするサイズの箱をはめてガムテープで固定して、箱の角で弦をはじいていました。琴みたいにギターを横にして弾いてみたら、意外と形になるぞと思って。それを見ていた父が、ちゃんとギター用の義手ピックを作ってみようと言ってくれたんです。ネットで調べてもギター用の義手なんて出てこないので、ホームセンターに行って使えそうな素材を集めて作ろうと。

父が試行錯誤して、最初はアクリルの板を曲げてピックの代わりにしたり、マジックテープを使ったり、試作品もたくさんありました。最終的に、事務用品のクリップにピックを挟んで、合皮のグローブに金属で固定するという今の形に落ち着きました。
── お父さんの愛情が伝わりますね。
Lisa13さん:父の気持ちがうれしかったし、ちゃんと弾けるようになった!って喜びもありました。そもそも勉強しなさい、大学に行きなさいという家庭だったら、ギターをやらせてもらえなかっただろうなと思います。のびのびやりたいことをやらせてくれた両親に感謝しています。
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中学校に入ると、大好きなロックの世界観をファッションや絵で表現していたLisa13さんでしたが、先生には偏見の目で見られ、逆に個性をおしつぶされるような指導をされます。それでも自分のやりたいことを追い求めて、ギター専攻のある高校に進学。自分らしくいられる環境で学生生活に打ち込んだ末、バンドデビューする道へと進み、今に至ります。
取材・文/小新井知子 写真提供/Lisa13