50代「最愛の人に出会う確率は…」
── 心の不調はどうやって立て直したのですか?
小力さん:猫に救われました。スマホをいじっていたら、猫の動画がたまたま出てきて。それをしばらく見ていたら、気持ちがスーッと癒やされて、徐々にもとに戻っていったんです。動物による癒やし効果を得られる「アニマルセラピー」なんですかね。
そのとき、「猫を飼いたいな」と思ったんですけど、僕、猫アレルギーで。以前、ペットショップで猫を抱かせてもらったら、肌が真っ赤になってしまったんです。残念ながら飼うのはあきらめ、近くのペットショップでガラス越しに猫を眺めて話しかけています。でも、あの時期の心の不調がきっかけで、ふだんから「ムリしてないか?」と、自分の状態をちゃんと見つめるようになりました。
── 結婚観について伺ってもいいでしょうか。長く独身で過ごされてきた小力さんですが、結婚について考えることはありますか?
小力さん:年を重ねるごとに、結婚に対する考え方が変わってきましたね。若いころは「いつかするもの」くらいに思っていたし、実際に結婚を意識した女性もいたんですが、いまはないですね。「結婚」という選択肢が自分の人生のなかでどんどん遠くなっていった気がします。
ブレイクしてから20年ほど経ちますが、いまもこうして大好きな仕事を続けられている。考えてみると、これってすごく恵まれたことですよね。その幸せを得ているぶん、最愛の人に出会う確率は下がっているんじゃないかと思って。人生は、何かを得たら何かを手放さないといけない、そんなバランスで成り立っていると考えてしまうんです。
── バランス、ですか。両方を手に入れたいといった選択肢は…。
小力さん:全部を欲張ると、どこかにひずみがでてしまいそうで。僕には難しそうな気がします。コロナを経て、人とあまりつき合わなくてもいい環境が心地よくなってきて。たまに会うぶんには楽しいけれど、ちょっと話して帰ってくるくらいが気楽なんです。
ただ、ひとりで生きていくことに不安がないわけではないですよ。いずれは誰かの力を借りないと生きていけないときも来るでしょうし、そのときに誰かに寄り添ってもらえたら、それは幸せなことだと思う。逆に、誰かを支える幸せもあるでしょう。支え合える相手がいるって、きっと素晴らしいことだろうなとは思います。ただ、結婚にためらういちばんの理由は、たぶんビビってるだけなんでしょうね(笑)。