「あなたってアルビノなの?」20歳で初めて知った

粕谷幸司
子どものころから明るく人懐っこかったという粕谷さん

── ご自身が「アルビノ」だと知ったのは、いつ、どのようなきっかけだったのでしょう。

 

粕谷さん:「アルビノ」という言葉にはじめて出会ったのは20歳のころです。当時つき合っていた彼女から「あなたってアルビノなの?」と聞かれ、インターネットで調べたら、自分の症状にぴったり当てはまりました。アルビノの掲示板やホームページも見つけて「自分以外にもいるんだ」とはじめて知りました。

 

── 新卒での就職活動では、真っ白な髪色が壁になって苦戦されたそうですね。

 

粕谷さん:約20年前は、就活では黒髪が当たり前でした。髪色は自分のアイデンティティだと思っていたので染めずに挑みましたが、30社受けて全滅。もちろんそれだけが原因ではないと思いますが、「どこにも行き場がないのかな」と孤独を感じたことがありました。アルバイトをひとつ探すのも、大変なんです。大学を卒業した直後は、仲間2人と立ち上げたユニットProject One-Sizeで、ポッドキャストラジオを配信しながら「自分に何ができるか・どうなりたいか」を考えていました。その年の7月、IT系の会社に「人と違う目立つ見た目を活かして広報(PR)になりたいです」と志望してアルバイト入社し、後に正社員になりました。

 

その会社を辞めたあと、NPO法人マイフェイス・マイスタイル(見た目問題を解決するNPO)にお世話になったり、ライブアイドルのマネジャー、フリーランスで映像編集、声優系コンテンツの制作会社でイベント制作をしたりと、色々と渡り歩きました。

 

── 現在、ひとりで生活されているとのこと。弱視や紫外線対策など、暮らしのなかで「できないこと」と、どう折り合いをつけているのでしょうか?

 

粕谷さん:できないことを無理にやろうとせず、自分にあった環境を整えることで工夫しています。光を非常にまぶしく感じるため、自宅の照明はかなり落として薄暗い状態にしています。飲食店などの屋内でも照明の光が目に入るとまぶしいので、つばつきの帽子を脱がずに、光が直接目に入らないようにしていることが多いです。日焼け止めは昔からベタベタして苦手なので、真夏でも長袖、長ズボンに帽子、日傘が必須ですね。

 

紙の書類や本を読むときは、ルーペが必要になることも多いですが、最近はデジタルで文字を拡大できるので、だいぶ楽になりました。知らない場所に行くときは、頭のなかで動線をシミュレーションしてから出かけます。できないことに目を向けるより、どうしたらできるかを考えて工夫していますね。