高校までいじめられ、同級生からパシリ扱い

たいぞう
小学生のころからいじめを受けていたが、学校は休むことなく通い続けた

── 子どものころは、こだわりの強さなどの特性を指摘されたことはあったのでしょうか。

 

たいぞうさん:子どものころは「変わってるよね」としょっちゅう言われていました。人と同じことをするのが嫌い、好きなことは何時間でも集中して没頭する性格だったので、当時から自閉スペクトラム症(ASD)の特性が際立っていたんだと思います。

 

そのせいか、小学校から高校まで、いじめのターゲットにずっとされていました。同級生からパシリに使われたり、お金を取られたこともしょっちゅう。でも、当時からお笑い芸人に憧れていたので、「いじめくらい耐えられないと芸人にはなれない」と、学校は休むことなく通い続けていました。

 

──「芸人になりたい」と考えた理由は何だったのですか?

 

たいぞうさん:「人を笑わせること」が好きだったからです。いじめてくる相手に対しても、あえてボケたりして「お前おもしろいな」と言われたことも多く、「人を笑わせることができる自分は、芸人に向いているんじゃないか」と考えるようになりました。

 

ただ、父親は「お前に芸人なんて無理だ」と猛反対。それでも意志を曲げずにいたところ、高校入学前に「本気で芸人になりたいのなら、高校3年間で何でもいいから人に負けないことを成し遂げてみろ」と言われて…。

 

そこで、自宅から片道20kmの距離にある高校まで「3年間自転車で毎日通学しよう」と考えたんです。

 

── 往復40kmの距離を毎日自転車で通学したとは、驚きです…!「芸人になりたい」という夢へのひたむきさを感じさせてくれるエピソードですね。

 

たいぞうさん:毎日、山をふたつ超えて通っていました。高校時代も、同級生からいじめを受けていたので、「電車の中で、同級生と顔を合わせたくない」という理由もありましたけどね。でも3年間の努力を父親に認められて、芸人への道を歩むことができたんです。