保育士を続けながら常に意見を尊重してくれた母

── シングルマザーとして働きながら、2人のお子さんにバスケを続けさせるのは、たやすいことではないと思います。そんなお母さんは、今も保育士の仕事を続けられているとか。働きながら子どもを育てている身としても、保育士さんには本当にお世話になり、すごく尊敬していますが、内尾さんはそんなお母さんのことをどう思っていますか?

 

内尾さん:母は子どもが本当に好きで、保育士の仕事をずっと続けていたんだと思います。そのいっぽうで、ほかの教育関連の仕事と比べると、待遇面があまりよくないということを、あとになって知りました。それでも母は、不平を言うこともなく懸命に働きながら、僕たちきょうだいを育ててくれました。保育士は、子育てをしながら働く人にとって欠かせない存在で、たくさんの人に感謝されている職業だと思います。だからこそ、待遇がよりよくなっていってほしいと強く思います。

 

── そんなお母さんから影響を受けたと感じることはありますか?

 

内尾さん:小さいころから僕がやりたいことをやらせてくれたことは、僕の人生にいちばん大きな影響を与えたと思っています。特に中学の3年間、実家を離れ福岡県から熊本県へ行かせてくれたことは大きかったです。

 

縁あって熊本でバスケをする選択肢ができたので、まだ小学生だった僕は、深く考えずに直感で「熊本でやってみたい」と、思うまま母に伝えたんです。母は「自分がやりたいと思ったことなのだから、最後は自分で決めなさい」と言って、熊本に送り出してくれました。それからは高校、大学とずっと親元を離れていましたが、バスケットボールに打ち込める学生時代を送ることができました。そんなバスケットボールへの道を選択させてくれた母には感謝しかないです。