20歳で初めて知った自分のルーツ

erinco
ウェーブヘアがイヤで縮毛矯正していたころ

── 20歳になるまで体外受精で生まれたことは知らされていなかったのですか?

 

erincoさん:小学生のときは特に、自分に海外の血が入っているとは思いもしませんでした。中高生のころは、何かがほかの子たちと違うと思いながらも、自分が両親の子だということは疑っていませんでした。ハーフっぽいところ以外、顔立ちは父親に似ていましたし、母のお腹の中から赤ちゃんの私が生まれてきている写真がたくさんあったので、わからなかったんです。

 

── ご両親はerincoさんが20歳になったら発表すると決めていらっしゃったんですか?

 

erincoさん:私から聞きました。大人になるとさすがに、親がどうみても日本人の顔なのに自分だけミックスっぽいな、というのはわかりますし、海外にルーツがあるかもしれない、と気がつきます。20歳の誕生日を迎えたあと、父とふたりきりになったタイミングで聞きました。母は口が堅いし、言わない意思を固めていそうだと思ったので、父だけに「本当のことを教えてほしい」と。

 

── お父さんは何とお答えに?

 

erincoさん:最初ははぐらかしていましたが、そのうち観念したのか「エリはハーフ(ミックス)だよ」と言われたんです。予想はしていましたが、実際に聞くとやはりショックで「じゃあ、お父さんが違うの?」と聞きました。聞きながら、どちらかというと父親似だしな…と思っていると、「お父さんの子だよ」と。しかも「お母さんのお腹のなかで育って、ちゃんと生まれているよ」と、自然分娩なことには間違いないんです。

 

── じゃあ、なぜミックスになるのかということになりますよね。

 

erincoさん:そこで、「母が54歳のとき、アメリカで卵子提供してもらってできた子なんだよ」と明かしてくれました。当時、日本では卵子提供が受けられなかったから、アメリカまで渡って2回体外受精したけどうまくいかず、金銭的にも体力的にラストチャンスだと臨んだ3回目で20代女性の卵子をいただき、やっと妊娠が成功して生まれたのが私だったと。母の希望もあって自然分娩したのですが、早産だったため約2200gと小さく生まれ、母は産後数か月入院していたと聞きました。