制作で応募も面接で「芸人向きだよ」と言われ…
── うつ状態でつらいときに、運命の出会いがあったのですね。
大屋さん:養成所にはお笑いコースと総合制作コースがありました。残念なことに、希望していたタレントコースがなくて。私はお笑いに向いていないと思ったし、制作はピンと来なかったから「タレントコースはありませんか?」と問い合わせたんですが、やっぱりなくて…。それで、裏方でもテレビに関わる仕事がしたい!と思い、総合制作コースに申し込みました。
無事に書類審査が通り、面接を受けることになったんです。集団面接で、1、2分ほどの自己アピールする時間がありました。すると、一緒に面接を受けている人たちは「将来テレビ番組を作りたい」や「コントで作る小道具を作りたい」など、しっかりとした志望動機があって。私は勢いで制作コースを選んだから、何をやりたいかをいっさい考えていなかったんです。だから、いざ自分の番になったとき、志望動機とは関係なく「私は人と話すことや楽しいことが大好きで、すごくおしゃべりです」みたいなことをワーッと話しました。

── 面接官も驚いたのではないでしょうか。
大屋さん:意外にも面接官の方たちは私の自己アピールに興味を抱き、5分~10分くらい耳を傾けてくれました。私の話を聞き終わると「君は裏方じゃなくて表に出るべきだと思うよ。お笑いコースに変更したほうがいい」と言われたんです!
びっくりして「もうすぐ27歳になるし、今さら芸人をめざす年齢じゃありません。女芸人は天下がとれないって話も聞くし…」など、いろんな言い訳をしたんですが…。面接官には「椿鬼奴さんは27歳で養成所に入ったよ。いまの時代、鬼奴さんはもちろん、森三中さん、渡辺直美さんなどたくさんの芸人が活躍しているよ」と、全部、論破されたんです。
── そこまで勧められるとは。そのときはどう感じましたか?
大屋さん:「まずい…。これ以上、言い訳をしたら落とされる」と思いました(笑)。それで、お笑いコースに変更して、入学したんです。あのときにお笑いを勧められなかったら、いまの自分はいませんでした。あのときの面接官にはすごく感謝しています。ひそかにずっと「私の恩人」だと思っています。