「できない」自分に向き合うのが踏んばりどころ

── 練習でいちばんつらいことは何ですか?

 

宗一郎さん:「できない」自分に向き合うのがいちばんつらく、イライラしました。これは自分だけではどうにも解決できないので、壁にぶち当たると、何が原因なのかを親と話し合いました。原因を見つけてからは、それを細分化して、ひとつずつ修正して、苦手を克服していったんです。

 

── その習慣がいまに至る基礎を築いたのですね。数々のコンクールで上位の成績を残すなど結果を出しましたが、モチベーションを保つコツは?

 

宗一郎さん:目標は必ず数値化して壁にはるなど、ふだんから見えるようにします。口で言うだけでなく、ペンで紙に書くのがミソです。消せないペンで「全国何位」「何点以上とる」と紙に書けば、目標を下方修正できません。

 

うまくいかなくても、途中で言い訳や変更ができないわけです。もちろん、目標を達成できないことはありました。でも、また同じように原因を探し出して、つぶしていくだけです。この一連のサイクルができるようになったのは、中高生くらいからですね。それまでは、ずっと親のサポートがあったからなんとかやってこられました。

 

お母さんのサポート力が光るピアノ練習ノート

── 小学4年生から連弾を始め、高校1年生で大阪国際音楽コンクール連弾部門優勝、米国・カーネギーホールからの招へいやドイツでの演奏会も経験。努力のかいがあって、順風満帆なピアニスト人生に思えますが、途中、ピアノがイヤになったことはありませんか?

 

順一朗さん:ぶっちゃけ、やめたいと思ったことは何度もあります(笑)。とくに毎年、コンクールまでの準備期間は「これだけ練習しても結果が出ない」「これじゃダメだ」というスランプに陥りました。ストレスがたまり、イヤになって…。そんなときは、違うことをやってみたり、好きな曲を弾いたりと、いったん距離を置いていましたね。それでも、いずれは課題に立ち向かわないといけないですし、コンクールが気になるので、やっぱり、できない原因を徹底分析する。あとは、先を急がずに毎日コツコツやる、かな。