友人の存在が心の拠りどころに

── 子育てで感じる悩みはありますか。

 

加藤さん:娘はとてもよく食べる子なのですが、それに悩むこともあります。食事が終わったあとも、もっと食べたいという素ぶりをするので少しあげると、またさらに食べたいとなって。止まらない食欲を抑えるのは大変です。「もうだめよ、はらぺこあおむしみたいにお腹が痛くなるよ」と言うと、今度は、机を叩いて抗議してきます。お子さんの食が細くて悩まれている方も多いので、食べてくれるのはありがたいと思うようにしているのですが、食欲が止まらず食べすぎじゃないのかなと思って心配で。

 

今はだんだん自我が芽生えてきて、自分の意思が出てくる時期でもあります。今の子育ては情報も選択肢もありすぎて、娘にとって何がいいんだろうと悩んでしまうことが多いです。育児に正解はないという言葉を身に染みて感じていますが、娘が好きなことを見つけてくれたらいいなと思って様子を見ている最中です。

 

── 育児の悩みを相談できる方はいますか。

 

加藤さん:学生時代からの仲で、5人の子育てをしている友人によく話を聞いてもらっています。一緒の音大に通っていて、お互い音大から一般企業へ就職しました。社会人になってからは仕事の悩みをよく聞いてもらっていましたが、今は子育ての話で盛り上がっています。 育児のあるあるを電話で話していると、「あれ、何を相談したかったんだっけ」というくらい違う話題に会話が飛んで必ず最後はお互いに大爆笑で終わります。

 

友人に話を聞いてもらうと、「同じお腹から生まれても5人それぞれみんな違うよ」という話をしてくれて。「そっか、なるようになる!」と思えるんです。それぞれ生まれ持った個性があって、無理をしなくてもその子に合った生き方があるということを気づかせてくれる大切な存在です。もともと仲よしでしたが、子育てを通じてより仲がいっそう深まった感じがします。子育てをするうえで友人の存在が心の拠りどころになっています。

 

 

育児に奮闘中の加藤綾子さんは、自身の幼少期にアレルギー体質で苦労した経験があるそうです。食物アレルギーでお弁当を持参するも「虫食べてる」と周りから言われたこともあったそう。アトピー性皮膚炎が悪化した中学生のころは、泣きながら登校した経験があったといいます。加藤さんの支えになっていたのは、「ひょうきんな人」と話すお母さんの存在。育児をしている現在は母への感謝の思いがよりいっそう強くなったといいます。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/加藤綾子