「カトパン」の愛称で人気の加藤綾子アナ。寝不足には自信があったといいますが、待望の第一子の子育て中に「育児では通用しない」とその自信が崩れ落ちてしまった経験があったそうです。(全3回中の1回)
結婚後の「子どもはいつなんだろう」の声に
── フジテレビを退職後、2016年からフリーアナウンサーとして活動されています。2021年にご結婚され、その後もお仕事を続けてきました。
加藤さん:みなさんから祝福していただけたことはとてもうれしかったのですが、結婚後から、服装によっては「お腹が出ているように見える」とか「妊娠しているのかな」言われることが増えました。

当時は妊娠していなかったのですが、「子どもはいつなんだろう」という声が寄せられるようになって。 今思えば気にしなくてもよかったと思うのですが、いつか子どもを授かれたらいいなと思いながら、年齢を重ねる焦りもあるなかで聞かれる声は、あまり心地よく感じられませんでした。
── お子さんを望んでいるのにそういった声を聞くのはつらいですね。
加藤さん:実は、月曜から金曜まで夕方のニュース番組を担当させてもらっていた際も妊活をしていました。朝、採卵の手術のために病院に行ってから少し休んで、お昼過ぎに仕事に行って。最初は大丈夫だったのですが、途中で腹痛が襲ってきたこともありました。番組を休むほどではなかったので無事に生放送を終えられましたし、病院の先生に相談して事前に「仕事をしても大丈夫」と言われていました。医療が進んできていて、実際に仕事と両立している方も多いので個人差が大きいと思いますが、私自身はやはり仕事と妊活の両立は大変だという実感がありました。
── 周囲の方にどのくらい話すか気をつかいますよね。
加藤さん:そうなんです、だからこそ両立が難しいと思います。病院の予約も取りにくいですし、仕事をお休みするにも理由の説明が必要です。レギュラー番組を担当している責任もありますので、自分の都合に合わせてお休みを取るのも躊躇してしまいました。
── 担当していたニュース番組を2022年秋に卒業し、その後はお仕事をお休みしていました。
加藤さん:世間の目からも少し距離を置いて、自分のペースで歩んでみたいという気持ちから、思いきって休もうと思いました。以前から子どもが欲しいと思っていたのですが、なんとなく感覚的に「気持ちがゆったりしていないと妊娠は難しいのかな」とも感じていて。12年半出演させて頂いた『ホンマでっか!?TV』を卒業させて頂く際に明石家さんまさんには、「家族の時間を作りたいので」とお話ししました。
── 休んでいた期間はどのように過ごしていましたか。
加藤さん:毎日ゆっくり過ごしていました。時間が経つごとに鎧を1枚1枚脱いでいくような感覚で、日々体が軽くなるような、解放されていくような感じがしました。それがすごく心地よくて。振り返ってみると、それまで仕事をしていた間は毎日緊張していて、体力的にも気持ち的にも結構ギリギリの状態だったということを休んでみて初めて感じました。
「ずっと働き続けていたのに、急に休んで焦らない?」と聞かれることもあったのですが、私自身はまったくそういうことはありませんでした。仕事からしばらく離れて、本当に気持ちがゆったりした段階で妊娠がわかりました。
── その方に合ったタイミングでお子さんを授かるとはよくいいますね。妊娠がわかったときはどんなお気持ちでしたか。
加藤さん:妊娠がわかるまで祈るような気持ちで過ごしていたので、実際に病院で先生から告げられたときは本当にうれしかったのですが、まだ油断ができないといいますか。喜び半分、信じられない気持ちが半分でした。妊娠がわかって最初のころは次の検診まで間隔があくので、「大丈夫かな」という気持ちが常にありました。もちろん夫にはすぐ妊娠を伝えましたが、周囲の方へは慎重に、少し時間が経ってから伝えました。
── 妊娠期間はどのように過ごしていましたか。
加藤さん:つわりはありましたが、幸い大きなトラブルもなく過ごすことができました。ただ、妊娠32週で逆子になってしまって。逆子になる確率が少ない段階だったので先生も驚いていましたし、それまで「順調だね、このままいけば大丈夫」と言われていたので急に焦りました。先生と相談して血行をよくするお灸などをして過ごしていたら、35週直前に胎動を感じる位置が変わったなと感じるときがあって。すぐに病院で診てもらったのですが、先生が手を握って「よかった!戻りました」と。これにはびっくりしました。
あとは、初めての妊娠ですべてが不安だったので、とにかくいいと言われることはなんでもしました。妊娠前から続けていたトレーニングも継続して、メニューは相談しながらジムにも通っていましたし、家でもマタニティヨガを毎日して。食事にも気を使って、妊娠中に摂ったほうがいいと言われる栄養素を常に意識していました。
── ストイックですね。
加藤さん:仕事を休んでいるというのは大きかったと思います。お休みをもらっている分、何かに一生懸命取り組まねばならない感覚になってしまって。仕事をしていたときの感覚がやはりなかなか抜けませんでした。