「交際0日でプロポーズ」も妻になる不安が

── 突然のプロポーズにえとちゃんは驚いたと思います。どんな反応でしたか?

 

りっぺさん:すごく落ち着いて、私の思いを聞いてくれていました。あとから聞いたら「りっぺはものすごい覚悟をしてプロポーズしてくれているんだ」と、伝わったらしくて。えとちゃんも当時は彼女がいなかったこともあり、真剣に考えてくれて、結婚することになりました。これまでコンビとして活動していたのが、急に結婚という話になって、周囲の芸人仲間はびっくりしたみたいです。「ビジネス結婚するんちゃう?」みたいにイジられもしましたが、みんな喜んでくれて、お祝いしてくれました。

 

ただ、結婚する前は「私は『ちゃんとした妻』になれるのかな」と、思ったこともあります。私は家族と縁が薄くて…。2歳のとき両親が離婚したため、実の母のことを覚えていません。父はいい加減で遊び人なので、1000円札1枚を置いてフラッと家を出たまま何日も帰って来ませんでした。私と弟は小学校低学年のうちから、電気もガスも止められた家でふたり暮らすなど、いわゆる「ふつうの家庭」を知らなかったからです。

 

── たしかに、一般的な家庭がどのようなものかわからないと、結婚して妻として夫にどう接するといいかといった、悩みも生じるかもしれません。

 

りっぺさん:小さいころは「どうしてうちはお父さんもお母さんもいないんだろう。ほかの友だちの家とうちは違う」と、思うことがあったんです。それが中高生くらいになってからは「人は人、自分は自分」と考えるようになりました。人と比べると苦しくなるだけなんですよね。成長していろんな人と接するうちに、しあわせそうに見える人でも、じつはそれぞれ悩みを抱えていることもだんだんと理解できるようになったし。結婚生活も同様で、「ふつうの結婚生活」というものはなく、自分のパートナーや生活を大事にすることが大切なんだと思いました。

 

トロピカルマーチ
大阪を拠点に活動していたころのトロピカルマーチ

実際に結婚生活を送るなかで気をつけているのは、「自分がされて嫌なことはしない、うれしいと思うことはどんどんする」ことです。シンプルかもしれないけれど、夫婦であっても、ほかの人間関係と同じだなと思って。

 

ただ、父がどうしようもないくらいテキトーな人だったのは、ある意味いい部分もあります。比べてはいけないのですが、えとちゃんはいい人すぎて。「こんなに素敵な人と出会えたなんて!」と、感謝しかありません。えとちゃんは感情の浮き沈みがなくて、頼りがいもあります。日常生活はもちろん、お笑い芸人として舞台に立っているときもお世話になりっぱなし。私はボケのセリフを間違えるなど、やらかすこともけっこう多くて。でも、えとちゃんがそれを拾って笑いに変えてくれるんです。