介護士から芸人に「夢は24時間テレビへの出演」

── えとちゃんと出会えて幸せな様子が伝わります。りっぺさんがえとちゃんに出会えたのは、お笑いがきっかけだったとうかがいました。そもそも、りっぺさんはどうしてお笑い芸人になったのでしょうか?

 

りっぺさん:先ほどもお伝えした通り、子ども時代は電気やガスが止められるのが当たり前だったんですが、ときどき電気が通ってテレビも観られたんです。 関西在住だったので毎週放送される吉本新喜劇で大笑いししていると、とても元気になれるんです。それで、「私は大人になったら、テレビの世界で働くようになるんだろうな」と、根拠はまったくないのに、確信するようになりました。特にお笑いが好きだったから、いずれは自分もお笑い芸人になって、みんなに楽しんでもらおうと考えていたんです。

 

とはいえ、すぐに芸人になったわけではなくて。中学卒業後は、父とほぼ絶縁状態だった祖父母を頼って全寮制の高校に進学。その高校では、介護福祉士の資格が取得できました。手に職を持ったら祖父母に安心してもらえるだろうし、周囲からも「社会人として必要な一般常識やマナーなどを学ぶため、3年はきちんと働いたほうがいい」と、アドバイスをもらって。

 

高校卒業後は介護職として働きました。ただ、想像以上に大変で…。体力的にはもちろんですが、介護施設の入居者さんが突然お亡くなりになったり、認知症が進んでいく姿を見たりするのが、つらくなっていったんです。この先ずっと介護職として働くのは苦しいだろうなと思い、3年働いてからお笑い芸人を目指すことにしました。 2014年にえとちゃんとコンビを組んでから、充実した毎日を過ごしています。

 

── 今後の夢はありますか?

 

りっぺさん:お笑いを始めた最初のころは、M-1グランプリなどで賞をいただいて、テレビにもたくさん出たいと思っていました。もちろん今もその夢は変わらないのですが、お笑いってそれだけじゃないな、と感じるようにもなってきて。今はテレビじゃなくても、発信して活動できる場はたくさんあるから、私たちらしい活動ができたらいいなと思っています。

 

私とえとちゃんの目標は、ミッキーマウスとミニーマウスみたいな存在になることなんです。私たちはミッキーとミニーのことを「師匠」と呼んでいて。あのふたりは、いつでも変わらず笑顔でいてくれるじゃないですか。私たちもずっとコンビを組んで、みんなに楽しんでもらいたいし、私自身も楽しみたい。それで、これまでお世話になった方たちに恩返しできたらいいなと思っています。

 

あとは、いつか『24時間テレビ』のマラソンランナーになりたいです。あの番組ではいろんな困難に対して努力している人や挑戦している人が紹介されています。私もお金がなくガスも電気も止められて苦しいときが多く、24時間テレビを観て「みんな頑張っている。私も頑張ろう」と、励まされたんです。もちろん、実際にランナーとして走るのはとても大変だと思います。でも、私はあの番組を観て踏ん張れたことがたくさんあります。いつか出演して、誰かの力になれたらいいなと夢見ています。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/りっぺ