私としてはどれも本気で、ぜんぶ本業
── 2023年には、宅地建物取引士試験に合格されたことが話題になりました。
才木さん:プロレスも筋肉も卒業して心機一転、何か次の目標に挑戦したいと思っていたんです。親戚が不動産業者を営んでいて祖父からも「宅建は取っておいたほうがいい」と言われていたので、落ち着いたらチャレンジしようと思っていました。覚えることが多くて大変でしたが、そもそも勉強は嫌いではないので、なんとか合格できました。実は今年の5月から、資格の学校・TACさんで宅建の講師もさせていただいているんです。
── 筋肉アイドルから、今度は宅建の講師へ。多彩なキャリアに、またひとつ新しい道が開かれましたね。そもそもどんな経緯で「教える側に」?
才木さん:資格の学校・TACさんで試験当日の解答速報の生配信の司会をつとめさせていただいたご縁から、今度は講師としてやってみないかとお話をいただきました。
今は10月の試験に向けて、週2回、オンラインライブ通信講座の講師を務めています。どうすればわかりやすく伝えられるか、興味を持ってもらえるか。頭のなかは今、そのことでいっぱい。どこに行くのもテキストを持ち歩き、空き時間に勉強しています。受け持った生徒さんは絶対に合格させたい、という気持ちで臨んでいます。
── 新しいことに踏み出すフットワークの軽さと、躊躇せずに前に進むたくましさ。才木さんの原動力はどこにあるのでしょう?
才木さん:昔から「どんな経験も自分の糧になる」という考え方で、心が動くものは、とりあえず挑戦してみるというスタンスですね。そのとき、そのときでやりたいことを全力でやってきた結果が今の人生。それに満足しているんです。だから、先のことをあまり考えすぎず、直感で動くほうが自分には合っているんだと思います。
ただ、いろいろ手を出しすぎて、「キャラが渋滞している」と言われることも(笑)。アイドルグループを2つ掛け持ちして、プロレスラーにボディビル、筋肉アイドルと、何足ものわらじを履いていたときは、「いったいなにが本業なの?」と。人から見たら、中途半端に映るかもしれません。でも、私としては、どれも本気で、すべて本業なんです。
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筋肉アイドルを卒業したことで自身のプライベートも考え始めた才木さん。マッチングアプリで婚活を始めますが、このとき出会ったのが才木さんのファンだった今の旦那さんだそう。筋肉がきっかけで興味を持った彼と、2年の交際を経て2024年にめでたく結婚を果たします。現在、結婚生活は2年目に突入。結婚当初はささいなことでケンカばかりしていたそうですが、結婚生活を通して、自分の感情を言葉にし、価値観を少しずつすり合わせていくことの大切さを日々実感しているそうです。
取材・文/西尾英子 写真提供/才木玲佳