人とつながると前向きになれることを実感
── まちづくり団体の代表からはどんなことを言われましたか?
塚本さん:「やなな」の広報活動を担当してほしいと言われ、SNS発信、コメントへの返信、ブランディングのお手伝いなどをすることになったんです。大事な役割をいただけたのがとてもうれしかったです。パソコンを使う作業だから家で横になりながらでも取り組めて、やりがいや責任感が生まれ、病気があっても社会参加ができる歓びを感じました。そこから、気持ちは大きく変化しました。
── どのように変わったのでしょうか?
塚本さん:もともと私は積極的なタイプでした。でも高校2年生で発症してから、いつも体が痛く、めまいや体のだるさにも悩まされました。長時間立つことさえできず、ほとんど寝たきりで過ごしていました。「今の私にできることなんて、何もない」とネガティブになっていたんです。それが、やななの広報を始めてから、発信することに携われて、知らない人ともつながれる。持病のある私でも取り組めることがたくさんあると気づいて。今、できることを大切にするようになりました。

── 気持ちが前向きになっていったのが伝わります。
塚本さん:その後、まちづくり団体の代表がタレント事務所を立ち上げたので、私も所属しご当地タレントとして地域で活動を始めました。地域活性化やまちづくり活動に参加していくうちに、人とのつながりも増えていったんです。2012年には、筋痛性脳脊髄炎の正しい理解と問題を啓発する筋痛性脳脊髄炎の患者会「笑顔の花びら集めたい」を立ち上げました。
患者会を立ち上げようと思ったきっかけは、筋痛性脳脊髄炎を診断してくれた医師から「早期に治療を始められたら若い人なら予後がいい」という話を聞いたことです。早期発見・早期治療がとても大切なのに、この病気はほとんど知られていません。医師でもこの病気について知識がない場合もあります。だから、患者さんのなかには長年、診断がつかずに苦しんでいる人もいます。私自身も発症してから診断がつくまで、1年半くらいかかりました。もっと早く診断がついたら…という気持ちがあります。
2012年から、私の地元である岐阜県で、病気について知ってもらうためのいろんなイベントを開催してきました。当事者はもちろんのこと、病気について知らない人が来てくれるようなイベントになることを心がけました。