「難病の私」でなく「明るい私」をみてくれた彼

── 旦那さんとはどんなふうに仲よくなっていったのですか?

 

塚本さん:ていねいに書かれたプロフィールを見て、とても誠実な人だと感じました。私もきちんと病気について伝えようと思い、情報を小出しにして伝えていったんです。少しずつ伝えたのは、これまでの婚活で学んだことです。最初にすべてを打ち明けると驚かれ、そこで関係が終わってしまうので…。

 

彼は症状を伝えられるたびに「まだ他にも症状があるの!?」とびっくりしたみたいで。でも、そんな驚き以上に「この人はどんな人だろう?会ってみたい」と思ってくれたようです。YouTubeには、私を紹介する特集動画が配信されています。またネットで名前を検索すれば活動内容はすぐにわかり、私を取り上げるネットニュースも見られる。知り合う中で、彼は病気についても学んでくれていたそうです。  

 

── 塚本さんは、旦那さんのどんなところに惹かれましたか?

 

塚本さん:思いやりがあって、共感力が高いところです。私に持病があると伝えても、特別視することはありませんでした。もちろん病気について配慮はしてくれますが、「病気の明里ちゃん」ではなく「積極的で明るい明里ちゃん」というふうに、私のありのままを見てくれる。だから、一緒にいるとすごく居心地がよくて楽しいです。

 

塚本明里
結婚式の様子

結婚式のとき夫は、私以上に大号泣していました。「明里ちゃんがずっと夢見ていた『お嫁さん』になるんだ」と、私の夢がかなったことに感動したそうです。結婚後、夫は東京で単身赴任、私は両親にフォローしてもらいながら岐阜で暮らしています。私はいつも体の痛みや動けないほどのだるさがあり、体を横にできるタイミングがあればいつも横になって過ごしています。だから長期間移動するのは難しいし、夫が仕事をしている間、ひとりで暮らすことは難しい気がしていて。

 

最初は一緒に暮らす生活を思い描いていました。だから、東京と岐阜で離れて暮らすのはちょっとさみしいなと思う気持ちもあったんです。でも、夫は毎週のように戻ってきてくれて。離れて暮らしているからこそ、会えたときに「帰ってきてくれてありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいになります。ずっと新婚みたいな感覚だし、新鮮な気持ちでいられるから離れて暮らすのも悪いことではないなと思います。今年3月、私は女の子を出産したのですが、夫は仕事で忙しいなか育休も取得してくれました。

 

── もともと妊娠は希望していたのでしょうか?

 

塚本さん:子どもは大好きで、いつか子どもがほしいと憧れていたんです。彼は私の病気のことを気にかけてくれて、「子どもは自然に任せよう」「もし授からなくてもふたりで楽しく暮らしていこう」というスタンスでした。ありがたいことに自然に授かることができたんです。そのときには地元でタレント活動をしていたこともあり、私が妊娠したことをメディアが報道してくれました。すると、ネットニュースなどではネガティブなコメントが目について…。

 

── どんなコメントがあったのですか?

 

塚本さん:「病気や障がいのある人が子どもを産むなんて…」とか、「自分の世話を子どもにさせるのか。ヤングケアラー要員にさせるつもりか」というコメントがありました。すべての人ではないと思うのですが、病気や障がいがある人が子どもを産むことに、批判的な人もいるんだなと感じました。私は子どもにはもちろん、幸せになってもらいたいし、ヤングケアラーにするつもりはいっさいありません。

 

ネガティブな意見を持つ人たちの考えを変えることはできないかもしれません。でも、病気や障がいのある人たちもいろんな人のサポートを得ながら、子育てができることも知ってほしいとも感じます。これまで私は、ご当地タレントとして情報発信をしてきました。出産や育児についても発信して、難病があっても子育てをしている私の経験を伝えていきたいです。