2019年に第13代東関親方の夫を病気で亡くし、シングルマザーとして小学生になるひとり娘を育てている佐野真充さん。夫が亡くなって6年。血管肉腫と宣告された当時は受け入れ難いものがあったという夫の病気や死と向き合い続けてきました。(全2回中の2回)
「肺がんの疑いが強いです」と言われるも
── 親方の病気がわかったのはどのタイミングだったのですか。
佐野さん:2017年に自宅を兼ねた相撲部屋を新築したんですが、その年に妊娠がわかったんです。もうすぐ子どもが産まれるからこれを機にきちんと検査をしておこうという話になり、年明けの2018年1月に親方は人間ドックを受診しました。
当初人間ドックでは肺に結節ありと診断され、大きな病院で精密検査しましたが、肺がんではないという診断でした。その後の経過観察で2か月おきくらいに診察する、ということを繰り返したのですが病名がわからず、大きな病気ではないだろうという診断が続いていたんです。
ただ、その間にも体調は少しずつ悪化していて、親方は不安なまま九州場所に向かいました。福岡で呼吸が急激に悪化したため、現地の病院へ行き診察を受けると肺がんの疑いが強いと言われ、すぐ東京に戻り検査するように言われたんです。
その後、九州場所を休場し、東京で別の病院で検査したところ、肺や胃など数箇所にがんがあることが判り、進行がんと伝えられました。ただし原発がわからなかったため、さらに検査を行うことになって。その結果、ようやく血管肉腫という病名がわかりました。
── 当時はどのようなお気持ちでしたか。
佐野さん:九州場所から戻ってきた親方は本当に具合が悪そうでしたし、親方も不安だったと思いますが、ようやく診断がついたと安心するところもあって。これでようやく治療できると前向きにとらえていたと思います。
私自身は1年前から症状が出ていたことを考慮すると、果たして治療して完治する状況にあるのか不安でいっぱいでした。転移もわかり、どこが原発かもわからない深刻な状況だったんです。正直、当時は受け入れ難いものがありました。