東京都議会議員に立候補した理由

── フジテレビで管理職を務められたのち、2017年に東京都議会議員選挙に立候補し、見事当選を果たされました。その後、フジテレビを退職されたそうですね。議員になろうと思ったきっかけは何でしたか?

 

入江のぶこ
当選後の選挙事務所で

入江さん:海外で暮らしていたとき、唯一の日本料理店によく通っていたのですが、その店を営んでいたのが小池百合子都知事のご両親でした。「こんな若さで外国で子育てをするのは大変でしょうけど、頑張りなさいね」と励まされ、勇気づけられた思い出があります。

 

子どもたちが成人し、子育てがひと段落したころ、小池都知事が政治に興味がある人たちを集めて開いていた「希望の塾」のことを知り、参加するようになったんです。それがきっかけで、東京都議会議員に立候補することになりました。実際に議員を経験して感じたのは、政治の場は特別なわけではないということ。普段はキャリアがありながら子育てをしている女性が、いったん政治に参加してまた民間企業に戻るのもいいと思うんです。さまざまなキャリアの方が参加できるようになるといいなと願っています。

 

── お話を伺っていると、何事に前向きで精力的で勇気づけられます。年齢を重ねると、新しいことに挑戦するのが不安になると思うのですが。

 

入江さん:私も30代や40代のころには、「歳をとっちゃったな。もう新しいことなんてできない」と思っていました。でも、60歳を過ぎた今、振り返ると、30代や40代はまだまだ輝き盛り。近ごろは70歳ごろまで現役で活躍される人も多いですからね。

 

仕事上でも新たなチャレンジの機会がめぐってくる場合もあると思います。そんなときに悩んでいるのは時間がもったいない。とりあえずトライしてみてほしいと思います。たとえば、会社で自分が関わったことがない分野の企画を任されたときには、ぜひ躊躇せずやってみてほしいんです。やってみないと結果は出ないし、次につながらないから。とにかくなんでもトライしてみるのが大事。そういう意味で、30代や40代なんてまだ年輩ではないですし、伸び盛りだと思いますよ。

 

 

60代を迎えた今も「何かに全力投球する気持ちは忘れずにいたい」と話す入江さん。子育てにおいても、シングルマザーながらふたりの息子のサポートを惜しまず、ともに東大合格を果たしました。忙しいなかでも「父親がいないぶん、短い時間でも息子たちとちゃんと向き合う」ことを自分に課し、親子の信頼関係を築いてきたそう。今でも息子たちとの関係は良好で、子どものころの話をよくするそうです。

 

取材・文/池守りぜね 写真提供/入江のぶこ