恋多き高校生活は「どの恋も真剣だった」

── デビュー曲の『あなたのキスを数えましょう』は、いまでも歌い継がれる名曲ですが、当時、まだ高校生だった小柳さんが、あんなに大人びた歌を情感たっぷりに歌い上げる姿に衝撃を受けました。感情移入、難しくなかったですか…?

 

小柳さん:でも、それなりに恋愛はしていた気がします(笑)。しかも、ちょうどレコーディングの時期は、おつき合いが初めて長く続いた彼から突然、別れを告げられた直後。だから、つらい思いを歌にぶつけていましたね。といっても、3か月…いや4か月だったかな。

 

── えっ!? 思った以上のスピード感が(笑)。

 

小柳さん:学生時代の時間の進み方って、大人になってからと違うじゃないですか(笑)。当時は1か月くらいで好きな人が変わることも。でも、どの恋も真剣でしたし、時期がかぶったことはありません。

 

彼氏はつねにいましたが、失恋のタイミングであの歌に出会えたことで、感情移入はしやすかったと思います。実際は、すぐ次の恋へと向かっていたので歌うたびに失恋の傷がうずくなんてことはなかったですけれど。いま思えば、若かったですね。

 

── 高校生でデビューし、瞬く間にスターダムへ。華やかな成功の裏側で、急激に環境が変わり、とまどいもあったのではないでしょうか。

 

小柳さん:それは、すごく感じていました。プロの世界に飛び込んで痛感したのは、自分がそこに「追いついていない」ということ。その感覚がずっとありました。