ストレッチマンとして感じる時代の変化

── 現在、ストレッチマン・ゴールドの成長を見守るストレッチマン・レジェンドを演じていますが、ストレッチマンとしても俳優としてもゴールドの先輩になりますね。

 

宇仁菅さん:勉強熱心なゴールドから演技についていろいろ聞かれました。いつも答えているのは、自分で思うようにやっていただくということですね。一緒の場面で演技がある際は相談したり提案したりしながら進めて、あとのシーンは彼自身の演技プランを大事にしてほしいなと思っています。役作りに関しては、「こうあるべき」という絶対はなくて、ゴールドはゴールドらしさを出してほしいなと思っています。私自身の俳優としての今後の目標は、抜け感があることと、人の演技の受けができるようになることです。

 

『ストレッチマン・ゴールド』の出演者
現在放送中の『ストレッチマン・ゴールド』で伝説のストレッチマン・ゴールドを演じる宇仁菅さん(写真右)

── 30年以上ストレッチマンを演じ続けている身として、時代の変化を感じることはありますか。

 

宇仁菅さん:パラリンピックが大きく取り上げられることもそうですが、放送開始当時と比べて障がいがある方やその家族が、障がいについて人に話しやすい世の中になりつつあるのかなと感じて、昔よりいい方向に進んでいるのではと思います。私自身も、長年ストレッチマンとして子どもたちと接するうえで、その子自身のよさをもっと見つけられるようになりました。みなさんすごくピュアで、まっすぐな部分を持っているんです。いいところをもっと社会に見せていけば、変わることがあると思っています。

 

── 番組以外でも、障がいがあるお子さんと接する機会があるそうですね。

 

宇仁菅さん:別の番組の企画でも障がいがある方や発達の指摘を受けた方のイベントなどに参加させてもらう機会が多いのですが、みなさんが持っている感受性やまっすぐさを肌で感じます。僕ら俳優は特に、個性を求められる仕事ですし、社会にはいろんな性格の人がいますよね。大人になるにつれていろんなフィルターがかかってしまいがちですが、きれいな心を持ち続けている方がたくさんいるということを伝えられたらいいなと思っています。

 

『なにしてあそぼう』、『できるかな』に出演されていた高見のっぽさんが書かれていた本で読んだことが、最近ようやく腑に落ちるようになりました。のっぽさんは、お子さんのことを子どもと言わず、小さい人と呼んでいたんですが、「小さい人は自分自身よりも優れた能力があるかもしれない」。でも、「その小さい人が失礼を働いたら本気で怒ります」ということが書かれていて。当時はピンときていなかったんですが、今の自分にはわかる気がするんです。

 

イベント中にも予期せぬトラブルや、子どもたちに注意すべきことなどはよく起きるのですが、褒めてから注意すべきところはするなど、その子が本来持っているよさを活かせるように接しています。障がいの有無で特別視することなく、個性を活かしていくことが、長年ストレッチマンを演じる自分の役目なのかなと感じています。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/宇仁菅真、NHK