30年以上、Eテレでストレッチマンを演じている俳優の宇仁菅真さん。長年、番組を担当する上で感じる時代の変化とご自身の役割についてお話を伺いました。(全2回中の2回)
48歳で「ストレッチマンとしてやりきった」
── 1994年からEテレの『グルグルパックン』のコーナーにストレッチマンが登場し、その5年後には番組として独立して『ストレッチマン』の放送がスタートしました。長年同じ役を演じるにあたって気をつけていることはなんですか。
宇仁菅さん:やはり全身タイツのこの衣装なので、体型維持だけは気をつけないと、と思っています。とは言っても、役をいただいた当時に比べたら8キロくらいは増えているのですが、年齢に見合った体型維持に気をつけています。夜のラーメンを控えるとか、なかなか筋トレまでは難しいのでウォーキングをするとか、できることをできる範囲で続けています。

── 2013年から2018年まで放送されていた『ストレッチマンV』では、ほかの方がストレッチマンを担当されていました。
宇仁菅さん:45歳のときに俳優としてこれからどうしていくべきかを考えたことがあったんです。29歳からストレッチマンとして演じ続けてきたわけですが、俳優としてもっといろんな役に挑戦してみるのはどうかなと悩んだ時期でした。ちょうど『ストレッチマン2』が終わったときですね。その次に、『ストレッチマン・ハイパー』という番組が3年あり、それが終わったときに自分としては「ストレッチマンとしてやりたいことはやりきった」というような心境でした。48歳のときです。
ストレッチマンを担当して10年目の2003年に『NHK紅白歌合戦』に出させてもらったことがあったんですが、できることならもう一度出たいなという思いはありましたけど(笑)。とにかく、いいスタッフさんや共演者に恵まれて、自分の演じるキャラクターについてはやりきったと思えていました。
──『ストレッチマンV』放送時の、番組に出ていない間はどうされていたんですか。
宇仁菅さん:舞台の仕事をしたり、NHKの大阪児童劇団の子どもたちに演技指導をしたりしていました。レギュラーの収録はなかったのですが、イベントで全国を回って、ストレッチマンとしての仕事は続けていました。そしてすぐ、僕を子どものころに見ていた20代後半から30代向けの大人にストレッチを教える『オトナのストレッチマン』へのオファーがありました。僕を懐かしんで見ていただけたことで、みなさんからも反響をいただいて。自分としてはやりきったと思えていた役だったのですが、ありがたいことにまた別の形でストレッチマンを継続できたことで、改めて役への愛着が湧いてきたのもこのころでした。
── 2018年4月から放送がスタートし、現在も続いている『ストレッチマン・ゴールド』で、伝説のストレッチマン、レジェンドとして出演されています。オファーがあった際はどんなお気持ちでしたか。
宇仁菅さん:僕自身はまったく想像していなかったことだったので、びっくりしました。出演者も素晴らしいですし、旧知のスタッフさんともまた再会できたのがうれしいです。今回は、僕の年齢や体力を考慮してくださったのか、体操はあまりせず、後輩を見守りながらうんちくを述べるというポジションを与えていただきました。また違った角度から番組に携われることができて嬉しかったです。今、観ている子どもたちからいただくお手紙に「レジェンドが好きです」と書かれていたり、ゴールドと一緒にレジェンドのイラストを描いてくれたりするのもうれしいですね。