子どもだからと目線を下げすぎない

── 社会が、多様性や個性を受け入れる方向に向かっていますね。

 

宇仁菅さん:最初の10年ほどは僕自身も、子どもたちとどうやって接したらいいんだろうと手探りでした。ストレッチマンとして撮影しているときは、キャラクターの話し方や勢いもありますし、何よりセリフがあるのでいいのですが、撮影以外の時間はどうしたらいいのだろうと。収録の時間を守れず扉を開けて入ってきてしまう子がいたり、静かなシーンで待ちきれないお子さんがいたりした場合にどう対応するのがいいのかというのも悩みました。

 

── どう対応されたんですか。

 

宇仁菅さん:「今はこういう時間だから、何時からなら大丈夫だよ」と、時間を約束して必ずそれを守ること、ていねいに説明することなどを心がけていました。大人としては当然なことではあるのですが、それを子どもだからと言って端折ったりせず、責任を持って接すると、わかってくれる子が多かったです。

 

障がいがあるから、子どもだからといって目線を下げすぎないことが大事なんじゃないかと考えるようになりました。子どもたちはいずれ社会で生きていくので、そこはストレッチマンが持っているキャラクターをうまく活かしながらこれからも伝えていきたいですね。

 

 

29歳からストレッチマンを演じ始めた宇仁菅さんは、45歳のときに俳優としてのこれからについて立ち止まって考えたことがあったそう。番組の改編でいったんは番組から離れるものの、イベントなどでストレッチマンを演じ続けていた宇仁菅さん。現在、放送中の『ストレッチマン・ゴールド』では、「ストレッチマン・レジェンド」として伝説のストレッチマン役での出演依頼があり、また違った立場から番組に携わっています。障がいの有無を特別視しないというのが、長年ストレッチマンを演じる上で感じた自身の役割だと考えているそうです。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/宇仁菅真、NHK