モデルとして活躍していた林マヤさんは、家庭菜園の作業中に熱中症になり病院で手当を受けたことがあるそうです。過去の教訓を活かした現在の熱中症対策について伺いました。(全3回中の3回)

草むしりをしていたら急にすごい量の汗が

── 2009年から茨城に移住して年間100種類もの野菜を育てているそうですね。1年を通して外で作業される機会が多いと思うのですが、畑での作業中に重い熱中症になった経験があると伺いました。

 

マヤさん:今から10年ほど前のこと。翌日うちの畑でテレビの取材があるので畑の草むしりをしていたんです。夏の暑い日で、日に焼けたくなかったので首元にタオルを巻いて、ゴム手袋をして、長袖長ズボンに長靴を履いて。

 

林マヤさん
田んぼの草刈りをする林マヤさん

外に皮膚がまったく出ていない状態でした。草むしりをしていたら、急にすごい量の汗が出てきました。そこから一気にクラクラしてきて、ダーリンから「顔が赤いよ」と言われたので、エアコンをかけた車で休むことにしたんです。バックミラーに写る自分の顔を見たら赤鬼のように真っ赤でした。

 

── すぐに休憩したんですね。その後どうなったのですか。

 

マヤさん:そこからだんだん体がしびれてきて、全身に痙攣が起きました。顔も引きつってゆがんでしまって。すぐにダーリンに近くの病院に連れていってもらったらお医者さんも「これは大変だ」と。体が曲がってしまって服が脱げないので、点滴をするために服をハサミで切られました。声を出せなかったのですが、この状況でも意識はしっかりしていました。真っ先に浮かんだのは仕事のこと。「こんなに顔がゆがんで、話もできないなら、もう仕事できなくなっちゃうのかな」って。顔半分がまったく動かなくなっていました。

 

ダーリンは、そんな私をとにかく心配させまいと「大丈夫、大丈夫」と頭をなで続けていてくれました。点滴をしてしばらく経ってから先生から「あ、林マヤさんだったんですね」と言われたのですが、最初は誰だかわからないくらいだったようです。そこから半年ほど手の痺れなどが残って、うまく仕事ができない日が続きました。

 

── 半年も続いたんですね。

 

マヤさん:お医者さんには、熱中症にかかっていることと、極度の脱水症状で体のカリウムが抜けてしまい筋肉が動かなくなったと言われました。心臓も筋肉なので、最終的に心臓が動かなくなってしまったら大変だったと。幸い、病院が近くダーリンがすぐに連れていってくれたのでよかったのですが、もし処置が遅れていたらと思うと怖いです。

 

── 熱中症になったのは真夏だったと伺いましたが、予防などはされていなかったんですか。

 

マヤさん:熱中症対策には水分補給だけではなく、栄養も大切なのですが、その日は水分を全然とっておらず、朝食も食べていませんでした。そんなに長時間作業をしていたわけではなかったので、大丈夫だと思っていましたし、熱中症がここまで酷くなるものだとも思っていませんでした。振り返ってみるとですが、前日にダーリンとケンカをして、怒りを引きずったまま、イライラしながら草むしりをしていたのもよくなかったなって。やはりイライラしているといろんなことに気が回らないんですよね。

 

それ以来、熱中症対策には本当に気をつけていて。水分や栄養補給はもちろん、暑い時期の日中は畑仕事をしないようにしています。涼しい早朝に水やりなどをして畑から撤収して、家で勉強したりハンドパンという楽器の練習をしたりして、夕方涼しくなってから畑に戻って作業をするようにしています。